36 息子のERデビュー

突然ですが、先日4歳になる息子がER(救急病院)デビューしました。何事かと思われそうですが、椅子に立っていたら足元がふらついて頭から床に落ち、目の上を切ってしまったのです。傷口はそんなに深くはなかったけれど血が止まらないし、傷が痕になったらかわいそうだし、夜遅くて普通の病院では診てもらえない時間なので、ひとまずERに行くことにしました。

ERといえば、テレビドラマの「E.R」を真っ先に思い浮かべる方も多いでしょう。ご存知の通り、あのドラマはシカゴが舞台になっていることもあって、私の頭の中でもERというのは重傷の人が行くところで、何時間も待たされるというイメージが出来上がっていました。ところが、行ってみたらビックリ。たまたまかもしれませんが、病室はとても空いていて、見たところ重傷そうな人はひとりもいません。受付を済ませたら、5分もしないうちに名前を呼ばれ、速やかに処置室に案内されました。

傷口は心配するほどの深さではなく、縫っても1針か2針というくらいなので、今回は医療用のボンドで傷口をふさいでもらいました。この方が痕が残りにくいとか。後日友達から聞いた話ですが、彼女のお嬢さんも本当なら6針くらい縫うはずの怪我だったのにボンドでふさいでもらったそう。最近の医療では、傷口が小さければボンド処置が主流みたいです。傷口が残らないで、簡単で安く治せるならこんなにいいことはありません。

ところで、ドラマの「E.R」でも時折問題になっていますが、ERでは医療保険に入れず医療費も払えないような生活に窮している人でも受け入れなくれはいけないという決まりがあります。そういう人たちは、緊急でもないのにわざわざERで診てもらうケースが多いので、本当に緊急で来た人たちが長時間待たされ命を落とすこともあるのだとか。今回診てもらった病院の待合室でも、緊急そうには見えず生活が豊かとも言えない人たちばかりを目にしたので、ドラマではない現実を目の当たりにしたという気がしました。

国の制度が違うのだから私があれこれ言っても仕方のないことですが、アメリカの医療費、それから医療保険料というのはとにかく高い!子供が風邪を引いて病院で診てもらうだけで100ドル、薬が30ドル。一方で日本ではタダのところがほとんど。だから、こちらでは風邪くらいでは病院には行きません。あ〜、恐ろしくて病気になんてなれやしない。息子のERデビューで、いろんなことを考えさせられた一日でした。

2005年8月