ちょっと一息、お茶でもいかが
ローラ・チャイルズ お茶と探偵シリーズ

ダージリンは死を招く お茶と探偵 (1) (ランダムハウス講談社文庫)  新年度が始まって一月たとうとしている今日このごろ。新しい生活のペースに慣れると同時に、ほっとして疲れが出ている方もおられるのではないだろうか。そんなときにぴったりのわくわくとまったりがたっぷり楽しめるコージーミステリをご紹介しよう。

 歴史の香りを色濃く残す街、チャールストン。風雅な地区の一画に紅茶とお菓子のお店〈インディゴ・ティーショップ〉がある。ドアを開けると、甘いお菓子とさわやかなお茶の香りが迎えてくれる。波打つ鳶色の髪に青い瞳の女主人セオドシア。お茶のことならお任せ、素適なシルバーグレイのベテランティーブレンダー、ドレイトン。魔法のように目にも口にも嬉しいお菓子をくり出す若きパティシエ、ヘイリー。小さな街でもいろいろ事件が起きるが、息のあった三人がかかれば、怖いものなし。個性豊かな常連さんも交えてかもし出す暖かで優しい雰囲気に、心が和む。

 このシリーズの魅力は、おいしそうなお茶とお菓子がつぎつぎ登場すること! 巻末にはお約束のレシピもついている。アジアンテイストがお気に入りのドレイトンが語る日本茶や中国茶の蘊蓄に耳を傾けるのも、また一興である。

 お気に入りの一杯を手にして読むと、気分は〈インディゴ・ティーショップ〉。セオたちのおしゃべりを楽しみながら、ひとときを過ごされてはいかが?

お茶と探偵シリーズ ローラ・チャイルズ 東野さやか訳 ランダムハウス講談社文庫 
『ダージリンは死を招く』
『グリーン・ティーは裏切らない』
『アール・グレイと消えた首飾り』
『イングリッシュ・ブレックファスト倶楽部』
『ジャスミン・ティーは幽霊と』
『カモミール・ティーは雨の日に』
『ブラッド・オレンジ・ティーと秘密の小部屋』

(2009年4月)