VIC FAN CLUB
VIC FAN CLUB: PARETSKY SITE

もどる



「ハード・タイム」を読んで

アメリカの移民

Carol

 『ハード・タイム』を読んで、まずアメリカの刑務所のヒドさにビックリしました。日本の刑務所にも悪い所はいろいろあるでしょうが、あれくらいメチャクチャな所はないと思います。よく、発展途上国などで、刑務所の待遇改善を求めて、囚人がストライキや刑務所の占拠を行っているニュースを耳にしますが、すぐに「人権」を口にするアメリカがこれでは…。
 アメリカは、建前としては「平等社会」で、法律等でも人種、性別による差別を厳しく禁止していますが、実際は、人種差別が非常に強い国だと思います。もともと、自分の国(母国)を、宗教、思想、貧しさのため追われて来た人々が集まってできた国なのに、なぜ、今まで(自国で)差別されていた側が、すぐ新しい移民に対し差別する側になってしまうのでしょうか?
 もちろん全く差別をせず、親切な人も多くいますし、国としては努力しているのですが、移民を受け入れる基準が、カナダやオーストラリアに比べてあいまいなため(つまり、ある程度学歴、技術、資産のある人を中心に受け入れをしている国々からみると、「人権侵害」を主張すればアメリカ人になれる)、本当に自立できる人が少ないのでは? 英語もできず、技術のない人が良い仕事を得られるわけがなく、これらの人々は、せっかくあこがれのアメリカに住んでも、貧困からなかなか抜け出せず、また、こういう人々が住んでいる地域がスラムとしてダウンタウン周辺に点在し、その結果、アメリカの大都市はラッシュアワーが過ぎれば、怖くて歩けないような街ばかりになってしまったんだと思います。そういったことが、『ハード・タイム』の根底にもあるような気がします。
 もう一つ、本の中にもヴィク自身の体力の衰えが書かれていましたが、私達からみれば、ずっとタフで元気です。いつまでも、カッコいい女性探偵として活躍してほしいと心から願っています。


もどる

VIC FAN CLUB: PARETSKY SITE