知っていますか?出生前検査
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はじめに

 近年日々のマスメディアを通じて出生前診断 ・受精卵診断 ・遺伝子医療などの言葉を多く見聞きするようになっています。私たちもこども診療所で毎日こども達と接し彼等を取り巻く社会と関わりあっていく中で、この問題に関心を深めてきました。98年4月しばらく中断していた診療所便りの復刊にあたり特集として「出生前診断」を取り上げることにしました。
 地域に根ざす診療所としての立場から日々診療所に来ているこども達の親の方達を中心にさらにできるだけ広く友人知人に渡ってアンケート調査を行って現状を把握し、認識を深めて共に考えていくことを目的としました。

 アンケートは京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)が1996年に実施された「出生前診断」 及び 「母体血清によるスクリーニング検査」に関するアンケートを使わせて頂き、今回は対象の大部分が障害児を持たない親であることを加味して若干の項目を付加しました。
 アンケートは7月末から手渡し・郵便・電子メール等で発送され10月初めに回収を締め切りました。発信は316部プラス発信先でコピーされたもの、Eメールのリストに載せられたもので、その内205 部が回収されました。難しい内容、答えにくい質問、記述式にも関わらず多くの方々が積極的に友人に回して広めてくださいました。また、集計の段階からは診療所の患者さんの中から関心を寄せて下さった2人の方に参加していただく事ができました。この内容が高い関心を集めていることを改めて確認させられる仕事でした。回答用紙の多くがそれぞれの方々の想いがぎっしりと書き込まれた重いものでしたので、集計作業はこの溢れる想いを充分にくみ取りながら、できるだけ簡潔に整理するという困難の連続でした。

 診療所の在る田無市は、東京都郊外の人口7万人、都心への通勤1時間の住宅地として近年急速な人口の増加が見られる地域です。回答の内手渡しの大部分はこの田無市とその周辺から寄せられたものですが、郵便、電子メール等で広がったものはほぼ全国に渡ります。
 寄せられた回答のうち障害のある子を持つ親の回答(38)、障害のない子を持つ親と子を持たない人々(167)という数字が示すように、8割が障害を持つ子を育てたことのない人々からの回答です。主としてダウン症児を育てている家族の声を反映しているトライアングルの結果に比較対照できる母体であると考えます。その意味からも集計方法はだいたいトライアングルのやり方に沿いましたが、回答群はAグループ(障害を持っていない子どもの親、子どもを持っていない人)と、Bグループ(障害を持っている子どもの親、本人が障害を持っている人)の2群にしぼりました。

 数字的に処理できる部分はグラフで表示し、処理しきれないコメントはできるだけそのまま記載しました。コメントはいくつかの質問にまたがる複雑なものが多くありましたので、項目ごとにまとめの解説を加えました。

梅村こども診療所