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kumikoのほとんど毎日ページ
2003年8

 


木村二郎さん訳 エドワード・D・ホック「怪盗ニックを盗め」


3年ほど前に木村さんから「サム・ホーソーンの事件簿(1)」をいただいた。そのときはエドワード・D・ホックという名前は聞いたことはあるが、作品を読んだことはなかった。はじめて読んでとてもおもしろかったので、次の翻訳を楽しみにするようになっている。
今回は同じ作家のまた別なキャラクターである。解説を読んでいると、たくさんのキャラクターのシリーズを書き続けていることに驚く。しかも短編小説で生計を立てているという珍しい作家だそうだ。
「怪盗ニックを盗め」は「怪盗ニック登場」に続く翻訳2冊目で、1979年に出版されたものの文庫化である。ニック・ヴェルヴェットは泥棒だが、価値のあるものには手を出さない不思議な泥棒である。イタリア系でグロリアという気のあう奥さんと二人で暮らしていて、依頼があれば出かけて、報酬は1件につき2万ドルに決まっている。
盗んでくれと頼まれるのは、プールの水とか子どもの絵とか木のたまごとか、わけのわからないものである。引き受けると現場に一人で出かけて一人で泥棒する。一人で段取りをつけるのだが、なんだかボーッとしているようで抜け目ないところが魅力だ。
短編小説が12篇入っているので、毎日寝る前に一つずつ読んでいる。さっさと事件が片づいて気持ちがよい。寝つきの悪さを助けてくれる本である。
この本の帯に〈クラシック・セレクション〉の広告があり、一番下に次回9月配本予定がある。それがなんと、クレイグ・ライスの「マローン御難」の新訳なのである。山本やよいさんの新訳でクレイグ・ライスが読めるなんてなんという幸せ。(ハヤカワ文庫 820円+税)

2003.8.31


夏風邪その他


夏に風邪を引くなんてとんでもないことになったのは生まれてはじめてである。小学生のときは虚弱児童であったが、それ以降、持病の偏頭痛以外は数日寝込んだインフルエンザしか病気の経験がない。
それでも根本が虚弱なんだと思う。しょっちゅうアレルギーのくしゃみ、ジンマシン、無理をした後は人前でも欠伸の連発である。でも医者にかからずに虚弱なところと共生しているというか、とにかく眠って治す。最近は家で仕事しているのですぐ横になっちゃうからね。
夏の風邪ってつらいものだ。冬なら暖かくしていたらいいのに、夏はそうはいかない。この暑さの中でぐっしょり汗をかきながら、咳が止まらず喉が痛いのである。えらい体験をさせてもらっていると思ってしのぐしかない。
しかし、わたしの体調とは反対に阪神タイガースは快進撃である。太めの久保田投手と早川選手が今日はがんばった。2人とも肉厚のほっぺたが目立っている。わたしと親戚のようだと誰かが笑っております。
昨日のゴマの食べ方だけど、YOKOさんがBBSのほうで返信してくださった。イリゴマをそのまま食べるよりもちょっと砕いたほうがいいって。YOKOさんのご実家では電動ごますり機を使っているそうだが、YOKOさんは指でつぶしてはるそうだ。うちでは今日晩ご飯のときにすり鉢とすりこぎを出して摺って食べました。香りが出てそのままよりうまかった。

2003.8.30


ゴマを毎日食べる


NHKの健康雑誌によると、ゴマを毎日食べると老化を防げるという。そして食べ方が出ていたのだが、ゴマドリンク(ゴマ、豆乳、ハチミツ)はおいしいんだけど毎日作りにくい。ミルク、ヨーグルトの他にゴマドリンクを飲む習慣がなかなかつかない。ゴマ和えもよくつくるが毎日というわけにいかず、ちょいと飽きてきた。そこで、毎日ゴマを食べる方法を考えていたのだけれど─簡単な方法があったのでした。
先日「届けっ」メールをくださいとこのページに書いたときに、メールをくださったYOKOさんがゴマ愛好家だったのである。メールの遣り取りをして、お互いのサイトを再々訪れるようになった。そのYOKOさんのサイト「 Forest Zone 」(http://www.asahi-net.or.jp/~ge3m-hsmt/YOKO_home.html)の「食事日誌」に毎日黒ゴマを食べていると出ていたのである。さっそく彼女の掲示板でお聞きしたところ、それはイリゴマだとお返事をいただいた。それで、いつもの「ポランの宅配」から配達してもらったところ、これはよい! ご飯にふりかけてよし、ラーメンにふりかけてよしで、しかもそのままだから手軽この上なし。一度お試しください。

2003.8.29


デイヴィッド・グーディス「狼は天使の匂い」を買ってきた


BBSのほうを読んでいただいたらわかってもらえると思うけど、ある人の書き込みにアタマを悩ませている。時間をかけて長文のたしなめ文を書いて睡眠不足となり、夏風邪の引きはじめの気分が続いている。多分、血圧も上がっているんじゃないかな。もろヤバイです。
それで今日は一区切りついた気持ちで本屋に行き、デイヴィッド・グーディス「狼は天使の匂い」を買ってきた。裏表紙に「ノワール小説の伝説的名作」とある。本邦初訳なんですね。
映画「狼は天使の匂い」は1974年封切りのときに見ている。それ以来とりこになって、レーザーデスク発売とともに買って何度も見た。最近はご無沙汰しているが。
監督ルネ・クレマン、脚本セバスチャン・ジャプリゾ、音楽フランシス・レイ。出演は年寄りの男に亡くなる前年のロバート・ライアン、若い男がジャン=ルイ・トランティニアン。
いやもう、こんな素敵な映画は他に知らんというくらい当時は熱狂したものだ。しがない悪党たちがどんな犯罪を計画したとか、そういうことはみんな忘れてしまったが、ライアンとトランティニアンが階段に座って語り合うのでもなく、色のついた小さなボール(ビー玉だったかも)をたくさん転がしていたシーンが忘れられない。
さあ、これから嫌なことは忘れて読みふけるぞと思ったのもつかの間、またBBSで一働きだー。(ハヤカワ・ミステリ 900円+税)

2003.8.28


ルートビアのことなど─「スイート・ホーム殺人事件」


昨日はBBSの書き込みに精力を傾けてしまったので、こちらはあっさりですませてしまいました。どんなことを書いたか気になるかたはBBSのほうを読んでくださいね。力作ですよん。
さて、いまBBSでは「ルートビア」が話題になっています。その話題をいただいて今夜は「スイート・ホーム殺人事件」に出てくる飲み物について書きますね。
この作品は1944年発表なので、一応1940年代前半の話でしょう。多分ニューヨークの郊外、一戸建ての家が並んでいる地域にカーステアズ一家は住んでいます。子どもたちがお小遣いがあるといくお店の名が「ルークの店」です。エープリルはお金が5セントしかないと言ってコカコーラを頼みますと、たまたま切れていて、では「ルートビア」となります。そのときは「ルートビア」も切れていて、側にいたオヘーヤ巡査部長がクリームソーダをおごってくれます。もちろんエープリルはオヘーヤを狙ってそこへ行ったのです。おごってもらいながら、隣家の殺人事件についての情報をしゃべってしまうのですが、もちろん作り話。クリームソーダにホイップクリームとチョコレートをかけたものが、ルークの店の最高級品らしいけどそれをおごってくれるからと3杯も食べて気分が悪くなる。クリームソーダだけだと25セントだから、ホイップクリームとチョコレートをかけたものならいくらなんだろ。
まあ、そんなしょうもないことを考えています。でもルートビアの話題が出ただけで、そうそうエープリルがルークの店で頼んだやつね、と思い出すのだからたいしたもんだ(笑)。飲んだことはないんですけどね。

2003.8.27


クレイグ・ライス「スイート・ホーム殺人事件」をまた読む


昨日は少しばかり気がかりなことがあって寝つきが悪く、それなら寝るのをやめて本でも読もうと起き出した。さあなにを読もうかと考えて、押入のミステリ箱を探した。ハヤカワポケミスの箱、女性探偵の箱なんかをどけて、クレイグ・ライスとドロシー・L・セイヤーズが入っている箱を出した。今日はセイヤーズでなくクレイグ・ライスで行こう。それも「スイート・ホーム殺人事件」だー。瓶の底に残っていたワインをコップに注いで読みだした。
こんなおもしろい本は他にない。ダイナ、エープリル、アーチーのカーステアス3きょうだいは作家の母マリオンと暮らしている。近所に殺人事件があった。3人は警察を出し抜いて犯人を捜そうとする。9人の子持ちをほこるオヘーヤ巡査部長もおもしろいし、ビル・スミス警部がカーステアス家の家庭料理にはめられていくのもおもしろい。スピードがあって、会話がおもしろくて、食べ物がおいしそうで、こんな小説はめったにない。読みだしたらやめられなくて、思っていたよりもずっと遅くなってしまった。
気がかりなことはどっかへ飛んでいったけど、明け方の雷の音で目が覚めると、開けっ放しの窓から入る風が冷たかったらしく風邪を引きそうな気分になった。今夜も遅くなりそう。

2003.8.26


朝顔の色


たった1本の朝顔の鉢を落っことして根元近くで折ってしまい、今年はもう朝顔を見られないかと悲観していたのだが、ようやく残った茎から葉が出てきて花が一つ咲き二つ咲いた。まだつぼみを持っているからこれからも楽しめそうでほっとしている。夏は朝顔がなきゃね。
その貴重な花の色がすご〜い日本の色なのである。「色の手帖」を出してきて花のそばで比べたらそのまま赤紫だった。この本はほんまに重宝だ。まず色が表示されてタイトルがある。[1 牡丹色]そして色の説明とその色名が出てくる文学作品のその部分が引用してある。赤紫は2番目で古くから高貴な色とされ、日本書紀、源氏物語に出てくるそうな。
めくっていくといろんな色の名前があって飽きない。ブルーでは、勿忘草(わすれなぐさ)色、露草色、薄花桜、紫苑色、花色、薄花色、そして桔梗と連なっていく。花色というのは落語で「裏は花色木綿」というやつよね。

2003.8.25


心理的投資


最高の暑さが続いている。食欲はあるがなんとなくしんどくてすぐ眠くなる。なんと今日は朝寝、昼寝、宵寝をしてしまった。深夜になれば涼しいのでごそごそしている。この暑さも明日までで、明後日からは少しマシになるらしいのでもう少しのしんぼうである。今年は結局一度もクーラーをつけていない。
午後遅くプールに行った。混んではいたが知っている人がおらず黙々と歩いてきた。知り合いのサイトの日記で読んだんだけど、運動に時間を割くことは、心理的投資と考えるべきだという考え方があるらしい。そして活動量を増やすことでリラックス効果も倍増するんだって。そう言われるとなるほどと思い当たる。
わたしのプールはヒザ痛を治すために、お金(プール定期券、バス代)と時間(往復時間を入れると2時間半)をかけているとはじめは考えていた。だがそれ以上に、自分の体全体のことを考えるようになったことがまずある。そして行った当座はかなわんと思っていたおばさん連中とのつき合いも、けっこう楽しいものだと思うようになってきた。そして、なんと言っても1時間2キロ弱を歩き続けられるのは、肉体的にも心理的にも自信になっている。ふーん、これを心理的投資と言うのかと歩きながら考えていた。

2003.8.24


今日は例会の日


今日はVFCの例会の日、いつものように1時間早く梅田につくように出かけた。最近のバスはかなり定刻に近くくるのがありがたい。道路の渋滞もなく25分で大阪駅前着。まずL・L・ビーンに行ってバーゲンのTシャツを2枚買った。そのあとは阪神百貨店と行くところは決まっている。1階で俣野温子さんデザインのハンカチを買い、地下の食料品売り場の洋菓子・和菓子とお茶売り場をゆっくり眺めてまわった。どれも種類が豊富で高級品が多くてパッケージが素敵である。
例会は久しぶりに多くのかたのご参加でにぎやかだった。食べるほうを忘れてしゃべっていたみたいでお店に悪かったかな。Uさんに早めの誕生日プレゼントをいただいた。
帰りは西梅田から3人で地下鉄に乗ったのだが、しゃべっていて、四つ橋で降りるところを難波まで行ってしまった。それで千日前線で帰ったのだが、帰ってからメールが届いた。UさんとOさんは大国町で乗り換えするところを、ひとつ向こうまで乗ってしまったとのこと。なんとまあ、わたしら仲の良いこと、ダブル乗り越ししたんやね。

2003.8.23


残暑がこたえる


涼しい夏に慣れてしまったせいか暑さがこたえる。今日の大阪は35.2度まで上がったそうだ。お昼ごろにプールへ行って、「暑いね」と知り合いに声をかけたら、「あの子らが帰るから来週になったら涼しくなるよ」という返事。あの子らって?と聞き返したら、高校野球が終わったらという意味で、例年高校野球が終わるといくらかましになるという。そうかなぁ。8月の暑さはガマンできても9月の暑さでは倒れそうになるもんなぁ。まぁ猛暑が終わるということかな。関西は、お水取りが来なくては春にならないし、高校野球が終わらないと猛暑は終わらないということかな。
今年はアイスキャンデーをおいしいと思ってよく食べる。ずっとバニラのアイスクリームを買ってあって、猫といっしょに食べたものだが、猫が死んでもアイスクリームを買ってきて、「花ちゃんが好きやったなぁ、これ」なんて言いながら食べていた。なんか、今年は昔ながらの棒のついたさくさくしたアイスキャンデーがおいしい。

2003.8.22


パン・オ・ショコラ


今日は今年でいちばん蒸し暑いような気がする。でも食欲が衰えないのは「ショコラ」を読んだせいかな。久しぶりにフランスパンとワインの夕食にしたくなって、うつぼ公園横のTakeuchiまでパンを買いにいった。フランスパンのほかに、もちろん、パン・オ・ショコラ! それと前にBBSで話題になったメロンパンを買ってみた。公園をぶらぶらしていたらにわか雨が降ってきたので、あわてて公園の中の喫茶店にかけこんだ。いつのまにかイタリアンレストランになっていたが、コーヒーはあった。
雨がやむまでテラス風になっているところに一人で座っていた。すぐ横に植え込みがあってメタセコイアの太い幹がそばにある。せみ時雨がものすごい。
雨はすぐやんだ。降り足らないぶん蒸し暑くなるぞと思いつつ公園内を散歩した。大きな木がうっそうとそびえていて、曇っているからほの暗い。
帰ってお茶をいれてパン・オ・ショコラを食べた。うまいのなんのって! 夜はパンとワイン、イカとナス・トマト・キュウリにオリーブオイルたっぷりのサラダ、ベーコンとヒヨコ豆とトマトの炒めもの。暑さもなんのその、食べる、食べる。

2003.8.21


ジョアン・ハリス「ショコラ」


VFC BBSで話題になっていたので、図書館で借りようと思っていたら、えすさんが貸してくださるとのことで、先日カフェで甘〜いケーキを食べながら受け取った。
濃いピンクにチョコレート色の文字と線、そしてタイトルの「CHOCORAT」はいかにもチョコレートという感じのフォントで金色に光り、チョコレートの箱のようである。
フランス南西部のある村にヴィアンヌという若い女性が娘を連れてやってきて、教会のそばの古い家に住み着く。そこでチョコレート屋(売るだけでなく店内でも飲み食いできる)を開店して、店へくる村人との交流がはじまる。
ヴィアンヌの手記と村の神父レノーの手記とが語っていく物語のテーマは、自由と伝統、または快楽と禁欲かな。キリスト教を知らないわたしには理解しがたいところもあるのだが、話が具体的、そしてチョコレートメニューの豊富さが読者を退屈させない。
フランス人てこんなにチョコレートが好きで、こんなに飲んだり食べたりするのかと感心してしまう。そして、こちらにはお茶と和菓子があるさと居直りたくなる。しかしチョコレートだからこそ快楽と禁欲ということがあるんで、だからキリスト教があるのだと思った。
ヴィアンヌがとても魅力のある女性で、相手のチョコレートの好みがわかる能力があり、話を聞き出すのがうまい。映画は見ていないけど、ジュリエット・ビノシュを当てはめて読んでいた。チョコレートをたっぷり食べたくなった。

2003.8.20


この夏の大ヒット ナスとヒヨコ豆のカレー


ひと月くらい前に東急ハンズへ買い物に行ったとき、いつも買うカレー粉のそばにヒヨコ豆の水煮パックを見つけた。ヒヨコ豆は好きなのだが最近あまり食べていない。明日これを食べようと思って、夜のうちに水につけておくのがおっくうなのである。それで最後の乾物の豆が賞味期限を越えたときに捨ててそれきりになっていた。
水煮で1回分あれば申し分なし。袋に食べ方が書いてあって、ナスとヒヨコ豆のカレーというのがあった。これこれとばかりにやったみた。ただ書いてある通りでなく例によって自己流にした。まずニンニクを炒め、その次にタマネギを細かく刻んで炒め、食べやすい大きさに切ったナス、ピーマン、インゲン、セロリ等手許にある野菜を入れて炒める。水を入れて月桂樹の葉っぱを入れて煮る。そこへヒヨコ豆を入れ、トマトを入れ、ルーを入れて、最後はグラムマサラをパラパラ。うちのいつものカレーは、カレー粉と各種スパイスを入れたしゃぶしゃぶのカレーだけど、これはルーと書いてあったので辛口のルーを買ってきた。うん、ルーが合うみたいだ。いちばんうまい食べ方はご飯といっしょのカレーライスである。むちゃくちゃ食が進む。いまは週に一度は食べている。新鮮なナスとトマトを使うのがコツです。
その後にヒヨコ豆が近所のスーパー・コーヨーのカレー食品売り場にあるのを見つけた。東急ハンズ(たしか290円)より12円安かった。
またその後である。ヨドバシカメラのB2食品売り場で袋入りがあったが缶詰もあった。値段を忘れてしまったが、缶詰は量が倍なので買ってみたら同じ味だった。ついでにまた夜から水につけておこうと決心して乾物も1袋買った。賞味期限はかなり先だからいつか食べるだろう。

2003.8.19


木村二郎さん訳 ビル・プロンジーニ「幻影」


“名無しの探偵”シリーズの長編24作目。私は翻訳されたものは全部読んでいるが、間が開いているとは言え、こんなに長い間読んでいたとは…びっくりした。70年代は私立探偵小説の黄金時代だったんじゃないかな。第1作「誘拐」(1971)の翻訳は1977年だった。
新潮文庫から徳間文庫に変わって「報復」(1988 翻訳は1990)で一時ストップしていたのが、2000年に講談社文庫から「凶悪」(1995)が出て、今回の「幻影」(1997)である。この10年間は不遇をかこっている感じの“名無しの探偵”であるが、これから翻訳がどんどん出たらうれしいな。それには本書が売れてくれないとね。いまのテーマを扱った熱い作品なので買って読んでくださいね。
“名無しの探偵”はコンピュータオンチなので、「凶悪」でコンピュータに堪能な大学生のタマラを雇う。いろいろと2人の間に波風は立つが、今回もタマラは“名無しの探偵”の事務所で働いている上に仕事熱心になっている。
ある日依頼人が現れて、子どもが白血病なので会わせたいから、麻薬中毒者だった元妻を捜してほしいと頼む。探偵は名前を変えて逃げおおせ、二度目の結婚をしようとしている元妻を探し出す。依頼人の喜びようが異常なのでおかしいと思ったものの、仕事が一つ終わったとしたところへ、警察から電話があり、依頼人が死んだことを知る。
かたや、元のパートナーが自殺し、探偵はあと片づけを頼まれる。
二つの事件は片づいたのだが、納得がいかない探偵は独自に調査を続け、事件の真相を知る。彼は長い間つきあっていたケリーと結婚していて、なんでも話し合い、幸せな生活を送っている。最後に二つの事件の話をちゃんと報告して自分なりの解決をしたことを告げる。わたしもこの解決を支持する。(講談社文庫 752円+税)

2003.8.18


はじめはのんびり、あとはばたばた


「届けっ」メールは昨日まで10通いただきました。未知だったかたからは8通、最後の2通は甥とVFC 会員でした。突然のお願いに気持ちよく手紙を書いてくださり、ほんとうにありがとうございました。これからもいつでも気が向いたらメールくださいね。BBSのほうにもお越しください。
昨夜はいつもより早めに横になったのだが、今朝起きたのは遅かった。朝の腰湯をして、ゆっくり朝食を食べて、新聞を読んでのんびりしたらもう12時である。片づけものをしてコーヒーを飲んで、昨日借りた本を読んでいると猛烈な肩こりを感じた。目もしょぼしょぼしている。これはいかんとプールに行った。
ゆっくりとプールで歩いて、目を遠くに遊ばせていると、手足の指先まで血が行きわたるような気がしてくる。気持ちもゆったりとしてきて、いつまでも歩いていたい気持ちになった。でも運動も八分目である。
買い物に行かなかったので晩ご飯はあり合わせ。鮭缶にニンジン・大根を千切りしてつけ合わせ醤油味、ナスとトマトのサラダ、かぼちゃの煮物、納豆・オクラ・山芋のネバネバ、ゴボウのみそ汁とご飯。お酒は泡盛の水割り。
晩ご飯がすんでからが大忙し。できあがった会報を昨日封筒に入れるのをさぼったので、どうしても今日やってしまわねばと、宛名シールをプリントするところからはじめた。いつもは先に封筒をつくっておくのだけれど、盆休みがあるさと後回しにしてきた。そのつけが最後にきた。ようやく送れるようにしたら11時を過ぎていた。

2003.8.17


休日の散歩


VFC BBSで話題になった本「ショコラ」をえすさんが貸してくださる、それもうちの近くまで持ってきてくださるということで、じゃあ、お茶しようということになった。最近のパターンになりつつある南堀江の庭のあるカフェで、コーヒーとケーキを食しつつおしゃべり。
そこから堀江の街を眺めつつアメリカ村へ出た。町中はお盆休みでひっそりしているが、このへんはどこからか出てきた若者でいっぱい。いつのまにか無印良品の店がなくなっているのにびっくりした。若者向けの服屋さんになっている。
アメリカ村を北へ向かうと遊べる本屋さんがある。なんだかかんだか言いながら店内を見てまわる。えすさんは雑貨や料理の本を買ってごきげん。わたしはいま読みたい本が見つからず、中原淳一の絵のあるメモパッドと栞を買った。
また北へ向かって歩き、南船場のアランジアロンゾのお店に入って見学。欲しいもの(猫の絵のついたポーチ)はあるのだがガマンである。またダベリながら心斎橋へ出てお別れにした。約3時間の散歩とおしゃべりでアタマに風を通し、先日からの会報づくりの疲れがとれてよかった。

2003.8.16


『ジャーロ』傑作短編アンソロジー(1)「探偵稼業はやめられない」


副題が「女探偵V.S.男探偵」となっていて、男女6人ずつの探偵が活躍する短編小説が集められている。トップがサラ・パレツキー「フォト・フィニッシュ」である(「フォト・フィニッシュ」については2001年4月と、2000年11月に書いているのでお読みください)。わたしはサラ・パレツキーの短編の中でこの「フォト・フィニッシュ」が一番目か二番目に好き。
次がマイクル・コナリーの「空の青」(シエロ・アズール)で、これは先日書いた「夜より深き闇」の前編になるもので、ボッシュ刑事ファンなら絶対読まなければいけない作品だ。その他はわたしははじめて読んだ女性探偵2人(ジェニー・ゴードン&C・J・ガン)ががんばる「スカーレット・フィーバー」がおもしろかった。他の作品も読みたい。久しぶりに読んだエイモス・ウォーカーもの「南部の労働者」(ローレン・D・エスルマン)もよかった。こう書いてくると、はじめて出会った2人以外の探偵たちみんなに「久しぶりに会えてうれしいわ」と言いたくなってくる。
それと、いつも楽しく読む木村仁良さんの解説がある。タイトルが「女にだって拳銃は撃てるし、男にだって料理は作れる」とかっこいい。この解説を読むと、いま活躍している探偵たちの動向がよくわかる。(光文社文庫 705円+税)

2003.8.15


梅田あちこち


パソコンの前から盆も正月も離れないのはよくないと出かけることになった。とはいっても、ちょっとご飯を食べて散歩しようというくらいのことである。長いこと例会日以外に梅田に出ていないので、今日はジュンク堂とL・L・ビーンと阪神百貨店以外のところへ行こうと決めたが、やっぱりご飯はシャーロック・ホームズにした。
ダーツの客がたくさんいてとてもいい雰囲気の中で、うまい生のギネスを飲んでおいしい料理を食べた。その後で上等のモルトウィスキーをお店がご馳走してくれた。おいしいウィスキーの後をアイリッシュコーヒーでしめて、散歩に出発。
大阪駅ってこの前はいつきたろう。中央口に大きな砂時計があって、ちょうど8時になるところで、たくさん人が集まっている。音楽がなりだしたら砂時計が大きく回転した。アナウンスがお昼前に人身事故があって電車がまだ時刻表どうりに動いていないと告げている。なんか駅らしい雰囲気。
北口へ抜けてヨドバシカメラに入った。笑われそうだがここへ来たのははじめてである。うちがパソコン関連品を買うのは昔から日本橋のソフマップ、心斎橋のナニワ、淀屋橋の大塚商会と決まっている。最近はアスクルにも頼む。ネットで買うこともある。そんなもんでどでかいヨドバシカメラに入ってみてびっくりした。マックの売り場で少し遊び、ソフトや小物なんかを見た。なんでもあるんやと感心することしきり。
地下2階に降りると食料品売り場になっていて、今日は空いていたがいつもは通勤客でいっぱいなんだと思う。なんやかやと買ってさて外へ出ようと思うと、どっちへ向いたらいいのやら。相方がエスカレーターの昇降を間違って行ってしまうので引っ張った。パソコンに向かってないときはただのボケおっさんやがな(笑)。やっと出口にたどりついたら、地下鉄梅田駅のいちばん北口の側だった。

2003.8.14


Peter Spier 「OH, WERE THEY EVER HAPPY」


ピーター・スピアの絵本のことは、「ロンドン橋がおちまする!」と「雨」の2冊を2000年5月に書いている。持っているのはこの2冊だけだけど、図書館の絵本コーナーに行ったときには座り込んでピーター・スピアの色と線を楽しんでくる。
今日は洋書絵本のところで「OH, WERE THEY EVER HAPPY」を見つけたので借りてきた。表紙に3人の子どもと犬と猫がいるんだけど、家の芝生の庭にいろんな色のペンキ缶がひっくり返り、子どもも動物も頭の先から足の先までカラフルである。どんな内容かとドキドキしながら開くと、表紙の裏の見開き部分が1枚多くてずっと3人+2匹のカラフルな足跡が続いている。
物語は郊外の広い庭付き住宅から両親が出かけていくところからはじまる。さあて、残った子どもたちが見つけたのは、納屋の棚にたくさんあるペンキである。ハシゴを運んでそれぞれが壁を塗り出す。わたしは赤、ぼくはブルー、ぼくはイエロー、窓も塗ってしまおう、グリーンもいいな。犬も猫も飛び跳ねる。ドア、シャッター、樋を塗り上げる。垣根はなんと紫色だ。さあできあがった! そのときは全員ペンキだらけだけど、できたできたと大満足である。ハシゴを片づけて家に入ると、台所、トイレ、お風呂の壁も床もペンキだらけ。清潔になって、改めて塗り上がった家を眺める。うわーっ! チョーカラフルな家! OH, WERE THEY EVER HAPPY 近所の人たちが見にくる。まだ両親は帰ってこない。

2003.8.13


大久保泰さんに教えてもらった


年の離れた姉がいたせいで、わたしは雑誌と小説と映画その他の雑多な知識を早くから持つことができた。少女雑誌すら姉が先に読んでお下がりをくれるという感じだった。いまになってみるととてもありがたいことだったと思う。その姉はとうの昔に亡くなってしまったが…。
少女雑誌「ひまわり」には、毎月必ず上質紙にカラー印刷の名画が1枚ついていた。わたしの絵画の知識はそこからはじまっている。好きな絵は切り取ってしまい込んだりしていた。いまだに名前を覚えているが、解説が大久保泰さんだった。大久保さんは銀行員だったが、絵画の専門家としても名前の通った人だったらしい。彼の真面目な解説を読んで知識を増やしていった少女はわたし一人ではなかっただろう。
1枚1枚の絵がいまも浮かんでくる。モネの睡蓮、ルノアールの少女、マルガリータという王女の絵、セザンヌは少年の斜めの顔だったような…、マチスもあった。その中でいちばん好きだったのがギュスターブ・モローだった。さすがサロメや神話の世界のではなく、黒いビロードの服を着た少女の全身像だった。白い靴下で黒い靴をはいた足の片方をちょっと曲げている。そして今月は印象派とはちょっと違った絵を紹介します、という大久保さんの解説があった。のちのちわたしがモローの絵を詳しく知るようになる下地がそのときできたのだ。

2003.8.12


もう一回、田辺寄席


昨日と今日で「届けっ」メールは2通でした。そのうちの1人、kenken-akemi さん、返信したメールがもどってきましたよ。用件はここに書いておきますね。【kenken さんとはお会いしたことはないです。芳養さんによろしうお伝えください。】
昨日の田辺寄席はえらい暑さにもかかわらず大入り満員だった。演目もみな熱演でおもしろかった。受付前にチラシを束ねるのを手伝ったと昨日書いたが、横で一人の青年が手伝いはじめた。普通のTシャツ姿なんだけど、ちょっとあか抜けした好青年。舞台がはじまってわかったんだけど、笑福亭たまさんだった。わーい、ってミーハー丸出し。
桂文太さんの開口0番のお題は「世話女房」だった。世話女房のお話をいろいろとした後で、田辺寄席世話人会こそ世話人のカガミであると持ち上げ、その後が文太さんの本領であるシャレになった。
田辺寄席世話人会の代表のOさんはマスコミに徹底して出ない人である。それをふまえた文太さんのシャレ。野暮だけど、誤解されたらいけないので、まず前置きを書いときます。わたしはせんだってNHKテレビで、お遍路さんを特集した番組を見た。白髪白髭の男性が四国八十八箇所を生涯遍路として歩いている。興味をひかれて最後まで見てしまったのだが、数日後に新聞に逃走犯として逮捕されたと出ていた。警官がテレビを見ていて、あの男がなにかの犯罪を犯して逃走中の犯人だと見破ったのだ。それから思い出したんだけど、松本清張の小説にもあった。映画を見に行ったら犯人が俳優になっていて映画に出演していた。
前置きが長くなったが、文太さんはテレビ局の人に言ったんだって。「Oさんがテレビに出ないのはなにか悪いことして逃げてるからでっせ」、そしたらテレビ局の人が本気にとったとか(笑)。「シャレがわからんやつがおる」と文太さんはお客を大笑いさせてくれた。

2003.8.11


田辺寄席 第354回(2003年8月)


せっかく行くからには見やすい席で見たいと早く家を出て、地下鉄の駅から会場まで家の前にある草花を観賞しながら歩いた。着くとまだ受付準備中で、当日入り口で渡す「田辺寄席ニュース」にアンケート用紙やチラシを挟み込む作業を少し手伝った。今日もよい席に座れてラッキーだった。
「開口0番」桂文太、テーマは「世話女房」で、ご自分の結婚式の噺などで笑わせた。
「長短」笑福亭たま、子どものときからウマのあう友だちなのだが、片や気が短く片やチョー気が長い。二人が饅頭を食べて煙管で煙草を吸うだけの噺なのだが、遣り取りの面白さで笑わせた。
「たがや」笑福亭猿笑、猿笑さんは東京出身でいろいろな職業を経て噺家になった人だという。いま60歳を超えてはると思うけど、いままで聴いた噺家さんの中でいちばん芸人らしい感じがした。上方で江戸落語をやるたった一人の人だそうだ。花火の「たまや」「かぎや」にひっかけた「たがや」というオチがおもしろかった。サービス精神旺盛な人である。
「崇徳院」桂文昇、高津神社の御茶屋で良家の若旦那とお嬢さんが出会って、お互いが一目惚れする噺。二人とも恋患いで寝込み、両家の親は人を使って相手を捜させる。そのお嬢さんが若旦那に書いて渡した「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢わむとぞ思う」が百人一首の崇徳院のうたでタイトルとなっている。
「千早ふる」桂文太、娘を身分違いの女学校へやった父親が、娘がイケズで百人一首の「千早ふる 神代も聞かず 龍田川 からくれないに 水くくるとは」はどういう意味かと聞くので、知らないとは言えず、物知りに聞きに行く。その人もあれこれひねりまわした解釈をする。この一首、わたしもどういう意味か知らなかった。帰ってから調べて合点したが、いままで意味も考えずにいたのかと一人で冷や汗。
「怪談・牡丹灯籠より お峰殺し」笑福亭猿笑、牡丹灯籠は新三郎のところへカランコロンと下駄の音を響かせてお露さんがやってくるところ、幽霊のために痩せきった新三郎を守るためにお札を貼るところまでしか知らなかった。その後が「お峰殺し」となる。歌舞伎の世話物のような感じの巧妙な話しぶりにのせられた。
落語って、おもしろくて笑い転げたり、怖かったり、また今日のように百人一首の意味を考えたりと奥が深いものだと思った一日でした。でも今日は暑さでちょっとぼーとなっていた。居眠りしかけたり。帰り道も異常に暑くてまいった。帰って桃を食べて昼寝してようやく回復して夜更かししている。

2003.8.10


キュウリの刻みかた


今日も「届けっ」メールが1通とどきました。ありがとうございます。
去年も書いたけど「堀井和子の気ままな朝食の本」にある「きゅうりとミントのライタ」は、ほんとに夏の朝にふさわしい飲み物である。タマネギとミントをみじん切りして、キュウリは薄い輪切りにしておく。別にヨーグルトとミルクに塩とコショウを混ぜておく。食べる前に両方をあえる。味がよいし見た目もきれいで夏の朝をさわやかにしてくれる。器に気を使うと涼しさが倍増する。
今朝つくっていて気がついたのだが、われながらキュウリをとても薄く切っていくんですねぇ。えっ、これってわたしが切ったの?と思うくらいに薄く切っている。この飲み物には紙のように薄いキュウリが合う。キュウリを切って何十年、やっと達した境地なんだなぁ。
わたしは超不器用人でなにをやっても荒っぽい。献立や味付けは抜群なんだけど(笑)。キュウリを刻むのもダメだった。いまも思い出すのは遠い昔のキャンプで、不安定なマナイタの上でキュウリを器用に刻んでいく女性の手である。
男性ばかりの職場の山男たちが、ときどきわたしのグループをハイキングやキャンプに誘ってくれた。夏のキャンプでわたしがキュウリをワイルドに切っていたら、代わってくれた女性が実にらくらくとさっさと輪切りにしていくんですね。わたしは「キャンプでそんな女らしいようなことはするなー」と叫びたかったけど、みんなの感嘆の目を浴びている彼女の勝ち。彼女はキャンプのリーダーとさっさと結婚して家庭におさまったのでありました。

2003.8.9


台風10号


今日の「届けっ」メールは3通でした。サラ・パレツキーや少女小説や絵本や食べ物などを検索して、このサイトにぶつかったそうです。ほとんど毎日読んでくださるかたもいてうれしいです。
台風がくるというので、買い物を午前中にしてしまおうと出かけたら、出るときは日が当たっていたのに、5分ほど歩いたところで強い雨が降りだした。傘を持たずに出たのでしかたなくよそのビルの軒下で雨宿りをした。幸いすぐやんだのでよかったけど、1日中そんな感じで強く降ったりやんだりだった。
夜になって1時間おきに気象ニュースを見ているんだけど、大阪は暴風圏の予想図にすっぽりとはいっている。通過は夜中かなと思っていたが台風の進み具合が遅いらしく、明け方という予想になった。夜になってからはずっと雨は降らないし、風もやんでいる。こういうのを嵐の前の静けさというんだろうか。いまは1時過ぎたとこどだけど、あと数時間起きていられるだろうか。外を見たら雨が強くなってきた。本を読みながら待ってみよう。

2003.8.8


ミナミまで本を買いに


今日の「届けっ」メールは2通でした。超うれしいです。
『ジャーロ』傑作短編アンソロジー(1)「探偵稼業はやめられない」にサラ・パレツキーの短編小説「フォト・フィニッシュ」が入っていると、この本を編纂した木村二郎さんに教えてもらっていたので、発行されたと聞いてすぐに買いにでかけた。近所の本屋を探し回って何軒もまわるはめになったら困るので、ミナミのジュンク堂へ行くことにした。
バスで道頓堀まで行って戎橋(阪神が優勝したらここから飛び込む)を渡るとすぐ、新しいビルにTSUTAYAが入っている。ここは昔「ナンバ一番」があったところで、売り出す前のタイガース(グループサウンズの)が出ていたのを思い出しながら5階まで上がった。5階は本売り場で、目指す本はなかったが、このスペースにいろんな分野の本を置くのだから、気の利いた選び方をしていると思う。エスカレーターで降りていくと、レンタルビデオのスペースが広い。時間がないのでクラシックというところだけ見てきたが、けっこう古いのが俳優別、監督別にあって楽しい。いつかゆっくり来よう。
道頓堀の通りは夏休みのせいかかなりの人出で、カメラやケータイを持った人が「食い倒れ」へんにあふれていた。法善寺横丁を通ってジュンク堂へ行ってすぐに本を見つけた。さらっと見ると、何度も『ジャーロ』に掲載されているのを読んだサラ・パレツキーの次に、マイクル・コナリーがあるのを発見。ハリー・ボッシュ刑事やん、えらいこっちゃと外に出て吉本新喜劇のビルにある青山珈琲店に入って読みはじめた。このページ7月31日と8月1日に書いた「夜より深き闇」に関わる物語である。タイトルの「空の青(シエロ・アズール)」と聞いただけでわかるかたもいらっしゃるでしょう。
木村さんの解説のタイトルがかっこいい。「女にだって拳銃は撃てるし、男にだって料理は作れる」だって。

2003.8.7


ナスのサラダ


昨日「届けっ」メールをくださいとこのページに書いたら、今朝ひとりのかたからメールをいただきました。うれしかったです。
今日の話題は料理です。これ先日の掲示板に書いたんだけど、おいしいので、こちらで紹介します。ナスを生で食べる料理です。ナスを塩漬けする時間がかかるだけで超カンタンです。
材料:ナス2本、トマト1個、黒オリーブ5個
その他:バジル多め、スペアミント少々、ケッパー大さじ1/2、オレガノ小さじ1/2、塩、コショウ、オリーブオイル大さじ2。
ナスとトマトのほかは、なくてもそれなりにおいしいです。
作り方:ナスを両サイド切り落としてタテに2〜3ミリ厚さに切って、塩をしてボウルに順に重ねて、お皿かなんかで重しをしておく。汁がたまったら捨てて、流水で洗って水をよく切り、形をととのえる。トマトをクシ切りする。黒オリーブは種をとって輪切り、その他を混ぜて、みんな混ぜてできあがりです。
朝ご飯のサラダとしてより、晩ご飯のビールのサカナにしたらおいしいです。ナスがなんともいえずおいしいので、もう3回もつくって食べました。ダニエラ・オージック「オリーブオイルを使う本」にありました。

2003.8.6


「届けっ」メール、待っています


ほんのたまにだが、うれしいたよりが「届けっ」メールで届く。あんまり読者数が増えていないのはカウント数でわかっているので、あたたかいメールが届くと、ああ読んでくださっているのだと、つくづくうれしくなる。
1ヵ月ほど前にポルトガル語と料理が趣味の女性から、とてもうれしい「届けっ」メールをいただいた。わたしのことを、すごくおしゃれな生活をしていると思ってくださっているようで少々恥ずかしい。でもうれしい。
いちばん最近の「届けっ」メールは、震災ボランティアで知り合ったかたからである。一度会ったことと、わたしがヴィク・シリーズを教えたことが書いてあったのでびっくりした。わたしが参加していた週末ボランティアでもずいぶんVFCの宣伝をしたものだが、そのお名前に憶えがなくて聞き直したら、週ボラではなくて、いろんな震災ボランティアの活動家が集まった会合で隣り合わせた人だとわかった。その日わたしは震災ボランティアの有名な活動家たちのお顔を拝ませてもらおうと思って出かけたのだった。単なるチビのヤジウマにすぎないのに、サラ・パレツキーとヴィクの宣伝をちゃんとしてきたところがえらい(笑)。ヴィク・シリーズ(そのうち1冊は原書で)をちゃんと読んでいる人である。これからのつきあいが楽しみだ。
ヴィクのファンのかた、「ほとんど毎日ページ」を読んで楽しいと思われたかたは、必ずお返事しますので「届けっ」メールを出してください。

2003.8.5


これから「半七捕物帖」が流行るかな


土曜日の夜のテレビドラマ「すいか」がおもしろいので家にいるときは見ている。場所は東京の郊外だろうか、若い女性(市川実日子、適役です)が賄いつきのアパートを親から引き継いでやっている。学生時代から住み着いている大学の先生(浅丘ルリ子、いつ見てもかっこいい)と、売れない漫画家(ともさかりえ、はじめて見たが感じがいい)がいるところへひょんなことで信用金庫OL(小林聡美、演技がうまい)が住むようになった。
小林の同僚(小泉今日子、楽しんでやっている)が3億円を持ち逃げしたことから、普通のOLだった小林が動揺したり、けったいな女性刑事が訪ねてきたりする。漫画家は仕事がうまくいかなくてウェイトレスになるがすぐにクビになる。浅丘ルリ子は京都の大学から誘いがあって迷う。それらの出来事がアパートの全員に知れわたるのだが、みんな人のことに首を突っ込むのが好きではあるが、あまり干渉はしないという線を守っているところがよい。
市川実日子が包装用のプツプツ紙を延々とつぶし続けが、つぶすのを突然やめて、浅丘ルリ子のところへ本を借りにいく。「捕物帖を貸して」と言うと(話せば短い理由あり)、浅丘ルリ子は「半七捕物帖がおもしろいよ」と言って貸してやる。市川は「はんなな」なんてうれしそうに持っていくが、ちゃんと画面には「岡本綺堂 半七捕物帖」と文庫本の表紙が出てきた。これから若い女性に流行ったらいいな。江戸情緒にあふれるものすごくおしゃれな作品だもん。

2003.8.4


花火の音が聞こえる


8時過ぎたころ、ドカドカドカーンという音がした。一瞬雷かと思ったがさっきまで夕焼けだったのを思い出した。ああ花火やん、今夜は淀川花火かな。続いてどんどん鳴り響く。大きなビルがじゃまして見えないのだが、音のするほうの空が明るくなっている。木津川まで行って橋から見ればいいのだが、それもめんどう。20数年前に引っ越してきたときは天神祭の花火も見えたのに、と言ってもしゃあない。音だけでもと窓を全部開けて、夏の夜の花火の感じを味わっていた。
泉北に住んでいたころはPLの花火の夜は友だちを呼んでパーティだった。まだみんな独身者が多くて、なにごとかあるとわが家に集まってガヤガヤやっていた。中に早く結婚したカップルが子ども連れでやってきた。その子どもったら、うちの押入を開けて、えっ、向こうに部屋がないのんと聞きよった(笑)。貧しかったけど若くて陽気だった。わたしは人にご飯を食べさすのが好きで、人を泊めるのが好きだった。
いまも貧しいことは変わりはないが、人を招くなんてほんまにおっくう。ご飯をつくるのも、布団の出し入れももうしたくないのである。来客用の布団はもう処分してしまった。この部屋にいろんな友だちが泊まったり、朝まで話し込んでいたかを思い出すと、ちょっと淋しい。

2003.8.3


土曜日の午後のおしゃべり


大手企業でマーケティングの仕事をしているVFC会員のYさんと久しぶりにお茶してしゃべろうということになった。おととしの夏に会って、秋にVFC10周年パーティで会って、それ以来である。
Yさんが入会されてからもう10年以上になるが、最初のうちはよく電話したりお会いしたりして、会の運営や会員のことで相談させてもらったものだ。当時は20年も年下の彼女の話を聞いて、わたしは世間知らずだとつくづく思ったものである。数年後はわたしも慣れてきたので、どんなに翔んでる女性(笑)が入ってきてもどんとこいになった。また20年も30年も年下であっても、精神的にはわたしのほうが若いから平気になった(爆)。
ま、そんなことを経た友人のYさんと堀江の街を散歩して、先日確認しておいたトロピカルカフェ・エナルジアに落ち着いた。ビルではあるが前庭を広く取ってあって、草花が植えられテーブルのセットがたくさん並んでいる。暑かったので部屋の中に座ったけれど、夕方からは庭でワインでも飲めば風情があるだろう。
会っている間、歩いていても座っても絶え間なくおしゃべりが続いた。他愛ないこともあるし、大阪の経済状況の話にもなる。わたしには大勉強になった会話であった。最近はインターネットに頼りすぎの毎日だと反省。もっといろんな人と会って見聞を広めたいと真剣に思いました。

2003.8.2


マイクル・コナリー「夜より深き闇」


ようやく読み終わった。分厚い文庫本2冊である。最初に出てくるのはハリー・ボッシュではなく、元FBI心理分析官テリー・マッケイレブなので少しまごついた。マッケイレブはもちろんマイクル・コナリーの作品「わが心臓の痛み」の主人公である(クリント・イーストウッドの監督・主演で映画化されている)。捜査中の事故で心臓移植手術で生き延びたマッケレイブは、心臓提供者の女性の子どもを引き取り、女性の姉と結婚して子どもも生まれ、地道に暮らしている。そこへ元の同僚ジェイ・ウィンストンから殺人事件のプロファイルを頼まれる。地道に暮らそうと決めたものの、犯罪捜査の仕事をはじめると、ここまでと言われても、はいそうですかと引き下がれるものではない。分析しているうちに、犯人はハリー・ボッシュだと確信していく。
ハリー・ボッシュのほうは他の事件の裁判に検事側として出廷している。マッケレイブは接近してくるし、ジェイがつきあいたいと言っていると元の同僚の女性刑事から電話があるしで、ボッシュは身辺に危機を感じて反撃に出る。
なんだかだあって、ボッシュがからんでいる裁判と、マッケイレブの調べている事件が並行して進み、最後は絡み合ってクライマックスへと一気に進んでいく。
二人の暗い男の物語と言ったらいいだろうか。暗い闇の世界にこだわるボッシュと、妻子のいる明るい世界にもどるマッケイレブ。よく似ているけど、根本が違うことを認め合って二人は別の道を歩いていく。
女性のほうはといえば、重要な役柄のジェイは表に立って脚光を浴びるし、要所を締める地区検事局のアリス・ショートもかっこよく決めている。やっぱり出世していく女性には蔭がない。ボッシュの元を離れていった妻エレノアの苦しみにわたしは惹かれる。(講談社文庫上下とも952円+税)※マイクル・コナリーのことを7月31日にも書いています。

2003.8.1

写真:藤田嗣治画文集「猫の本」(講談社)

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