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2003年1月

 


アリスン・アトリーの素敵なお話


今年に入ってからミステリーばかり読んでいるような気がして、そのせいで気分が殺気立っているんじゃないかと思えてきた。これはいかんとアタマが勝手に判断したらしく、1月も最後になって手にしたのがアリスン・アトリーの子ども向きのお話「ラベンダーのくつ」。
白いメンドリが主人公の話とチム・ラビットの話が入っている。チム・ラビットと言えば、3年前にうちの飼い猫の花子が死ぬ前に読んでやったのを思い出す。花子は19年間わが家でいっしょに暮らした猫である。わたしの声が好きだったので、彼の最後の数時間を抱いて話したり、本を読んでやったりした。この本を思い出したのは花子の3年目の命日が近くなったせいかもしれない。
イギリスの田園風景が目に浮かぶ本である。乾し草の側でウサギとノネズミといっしょに暮らす白いメンドリが「いいにおいをあつめて、とっておこうとおもうの。さむい冬がきたときに、夏をおもいだせるように」と言う。イギリスの長い冬と、きらめく春から夏が感じられるお話である。セイヨウナツユキソウ、スイカズラ、クローバー、タチジャコウソウ、ノバラなどを干して、冬になってもよい香りがするように、ジキタリスのはっぱでつくった小さな袋に入れておく。いちばん香りのよいラベンダーはいつか村で拾ったハンカチーフを袋にして入れておく。
チムはよく遊ぶ元気なコウサギである。ともだちのサムと遠くへ遊びに行って危険な目にあったり、キツネに追いかけられたりするけれど、ちゃんとうまく逃れておかあさんのところへ帰ってくる。
アリスン・アリトーのお話を読んでいるとイギリスの田舎がなつかしくなる。ははは・・・イギリスに行ったこともないのに・・・。(福音館書店 1200円+税)

2003.1.31


雑貨店が閉店するというので


今日は-2.7℃というたいそうな寒さである。なんとうちでも洗濯物が凍ってました。その代わりというか、空がきれいで星がきらきらと美しい。窓を開けてしばし眺めていた。
夕方寒かったけど、昔よく行った雑貨店が閉店セールをしていると聞いたので、京町堀まで行ってきた。最近は堀江や心斎橋に出ることが多く、京町堀というとバスで通り過ぎるだけで遠ざかっている。歩くのには遠いし寒いので、地下鉄で本町へ出てから歩き、帰りは散歩しながら淀屋橋へ出ることにした。
御堂筋をガスビルのところで西に曲がるとすぐ御霊神社がある。今年は初詣をしていないので、お賽銭をあげて拝んできた。信仰心はないが、街の中で静かな場所が維持されているのがありがたいと思う。なんやかや言ってもわたしは昔なじみのこの神社が好きなのである。
このお店に来たのは1年ぶり。最近は手紙を書くことが少なく、レターペーパーの在庫が減らないこともあり、また心斎橋、堀江方面の雑貨店に行くことが多く、ご無沙汰していた。自分が行ってなかったのに閉店すると聞くと、なくなったら困ると思うんだから勝手である。全品半額ということであれこれたくさん買いこんだ。これはあの人にあげようとか思ってつい手が出てしまう。ネコの絵はがき、椿模様の一筆箋、桜や薔薇などの薄いピンクの便箋や、下手な字を書くのもったいないような和紙の便箋も買ってしまった。

2003.1.30


レジナルド・ヒル「甦った女」


ダルジール警視シリーズを連続して読むのにそろそろ飽きてきた今日この頃、図書館の棚にある最後の本である「甦った女」を読了。あとは持ってる本で、昔読んで忘れてしまっている「骨と沈黙」をそのうち読もうと思っている。なんせこのあとには先日買ったマイクル・コナリーの「シティ・オブ・ボーンズ」が控えているんである。
今回は昔ダルジールを引き立ててくれた上司タランティアが担当した事件で、終身刑で服役中の女性が釈放されたところからはじまる。事件から27年経って容疑に疑問が生じたということで、当時の捜査方法について警察当局が調べるべくロンドンから調査チームがヨークシャー警察へやってくる。ダルジールはタランティアの名誉を守るべく、パスコーを巻き込んで独り立ち上がる。
そのためにダルジールは勝手にアメリカへ行くのだが、到着したときからお騒がせで、翌日のタブロイド紙一面に「クロコダイル・ダルジール」の文字がおどっている。記者会見をうまく手なずけたところへ、おいしい朝ご飯の店に案内しましょうと、フリーライターのリンダが現れる。ホテルでベッドを共にして、シャワーを浴びている間に、それぞれが相手の持ち物を調べるのがおかしい。それからがあれよあれよの珍道中で、ニューヨークからヴァージニア州まで行ってしまう。アメリカに住む事件のかつての登場人物を見極めて、イギリスにもどったダルジールを待っていたのは内務省の高官であった。
パスコーはエリーとの仲がうまくいかずに悩んでいるが、ダルジールに強要されての捜査から自分の推理で動くようになる。タランティアはなぜロンドンの出版社へ行った帰りの列車で死んだのか。また事件関係者の死に立ち会うはめになる。はじめは懐疑的なウィールドも最後には協力して事件の真相にたどりつく。しかし真相は発表されないまま政治的終末を迎える。
ダルジールがパスコーとエリーの仲を和解するように計り、久しぶりのわが家に帰るとダルジールのベッドにアメリカからやってきたリンダがいた。(ダルジール警視シリーズはすべてハヤカワポケットミステリ)

2003.1.29


梅一輪


梅一輪 一輪ほどの暖かさ、だったっけ? 今日プールの帰り、厚生年金病院の庭に紅梅が咲いているのを見つけた。数輪のと、かなり花をつけてるのがあって、しばし、木の下にたたずんできた。よい香りがした。春が近いんだなあ。あと3日したら旧正月だもんね。
しかし、寒さのほうはこの冬いちばんの寒さになると、プールで聞き、お米屋さんに聞いた。夕方の天気予報を見たら冬将軍がやってくるらしく、明日は大荒れだって。VFCの会員はあちこちに散らばっているので、天気予報を見るときは札幌、大町、金沢、関東、名古屋、それぞれ気になる。台風シーズンは四国、和歌山が気になるし。
さて、夜が更けるにつれて、部屋の温度も下がってきたようだ。足下が冷えてきた。お風呂に入って温まって寝よう。布団乾燥機をかけてベッドを温めておこうかな。明日の気温は-1℃らしい。

2003.1.28


87歳の会員


今日は一日中寒い雨が降っていた。夜になってあがったと思ったら今度は西風が強くなった。明日は寒くなるだろう。
メールにしても手紙にしても突然飛び込んでくるわけだが、今日は年賀状が来なかったKさんから寒中見舞いがとどき、夜になってメールチェックしたら、なんとVFC会員最長老の岡田さんから原稿がとどいた。息子さんが文字打ちして添付ファイルで送ってくれたのである。「ミステリーとは?」というタイトルで、最近読まれた本の感想からはじまって、ミステリーとは?という主題になる整然とした一文である。来月の会報に入れたあとでホームページにアップしようと思っている。なお岡田さんのミステリー論は「女性探偵たち、スカーペッタとヴィクとキンジー」と題して1996年に書いたものが、当ホームページの「ミステリー」のところにあるので読んでください。
岡田さんは80歳を過ぎてからヴィク・シリーズを読み、VFCがあるのを知って入会され、その年に東京から例会に参加された。お会いしたのはその一回だけだが、ずっと手紙で励ましてくださっている。今年の年賀状は会報にも載せさせてもらったがとてもよかった。VFCはまことによき会員に恵まれた会である。

2003.1.27


袖振りあうのも


ここのところ順調にプールに行っている。この調子で週3回を続けていきたいものだ。今日のプールはいろいろと出会いがあって楽しかった。
わたしが行った時間、ちょうどプール・ボランティアの人たちが来ていて、久しぶりに会った事務局のOさんとジャグジープールでお話した。
障害を持つ子どもたちをこうして預かるのは、子どもたちが水に親しむこともいいことだけど、親がその時間ゆっくりできるのがいいよね。子どもたちはグリーンの帽子を以前からかぶっているが、ボランティアの人たちがブルーの帽子をかぶっているのをはじめて見た。カンパが入ったので買いましたとのこと。去年から来ている小さい女の子が90センチのプールで浮いている。いままで50センチのところで遊んでいたのに…成長したものだ。
だいぶ前に顔見知りになった女性が来ていて、いろいろと世間話。その人は親がこの近くにいて、妹と1ヵ月交替で介護に来ているので、プールへも1ヵ月おきで来るそうだ。いろんな人生があるものだ。とかしゃべっているところへ、新人が入ってきた。そして「まあ、バスのおくさん…」と言う。ちょっと前に市バスを一緒に待っていてしゃべり、バスが来たら横に座ってしゃべった人だ。厚生年金病院の帰りで、医者にプールに行けと言われていると言うので、病院の側のプールに行っていると話たんだった。袖振りあうのも他生の縁ですね。

2003.1.26


マイクル・コナリー「堕天使は地獄へ飛ぶ」


マイクル・コナリーのハリー・ボッシュ刑事ものは翻訳されたときから読んでいたが、「トランク・ミュージック」で止まっている。あまりにも悲壮感が溢れていて読むのが苦しくなってしまったのだ。「堕天使は地獄へ飛ぶ」は2001年出版されたのだが、たいそうなタイトルがいやだったのと、本の形が大型になったのと、読むのがしんどいのとで買うのが延び延びになっていた。それで忘れていたのだが、年末に図書館で見つけたので借りてきて、延長を頼んだがそれももう明日で切れるので大慌てで読んだ。弁解ばかりしているけど、結局ボッシュ刑事を読みはじめるのがしんどかったんだなあ。
読んだらやっぱりよかった。去年の暮れには次作「シティオブボーンズ」が出ているので、今度はちゃんと買って読むことにしよう。
ロサンゼルス・ハリウッド署のボッシュ刑事は、妻エレノアからの電話を待って眠れない。そこへ上司から電話がある。「事件だ」と部下を起こして、事件があったケーブルカーの駅まで出向く。銃で撃たれていたのは黒人の有名な弁護士だった。彼は大衆の代弁者としてならし、熱狂的にもてはやされていた。
はじめは読むのに手間取るが、物語に入っていくともうずんずん進んで行かざるを得ない。ボッシュのいらいらと付き合いながら、またボッシュの上司への態度に大丈夫かいなと心配しながら…。
エレノアは、ボッシュが新しい仕事に取り組むときの、あの感覚の中毒になっていると説明する。そして元FBI捜査官であったエレノアは、いまは賭け事のテーブルの上でしかその気持ちを味わえないと言う。だから最後にボッシュがつきとめた真相が上層部ににぎりつぶされたとき、仕事のためにボッシュは黙るのだ。

2003.1.24


確定申告の準備


自営業の友人からのメールに、いま確定申告用の伝票等の整理中だと書いてあった。その続きに「ひょっとしたら、そちらも確定申告準備、まだじゃないですか?笑)」とあって、笑ってしまった。まだですよん。でも領収証などの整理は毎月しているから、12月分をやって総計すればできる。今日は一念発起、朝からやってかなり片づけた。あと申告書を書くのが面倒なんだけど、2月16日までまだ間があるし、なんとかなるさ。
家で仕事していると着るものに気を配らない。そもそも働きに出ていてもそんなに気を配るほうでなかったからよけいである。昨日用事で本町方面まで行ったのだが、さすが大阪のビジネスの中心地、トレンディドラマに出てきそうなキャリアウーマンがさっそうと歩いている。きれいに梳いた髪をなびかせて、ぴったりとしたパンツスタイル。なんでそんなに細長いの?と聞きたいような足の長さ。
こちらはチビが着ぶくれしている上に、ひったくりを用心してのカバンの斜めがけ、なんかこんなとこに存在しているのが悪いような(笑)。

2003.1.23


サラ・パレツキー「ビターメモリー」


ヴィクは元の恋人ローリングスの妹カミーラから頼まれて、黒人のイザイア・サマーズに会い、彼の伯父が死亡したことで伯母が受け取るべき保険金が支払い済みになっている件について、調べてほしいと頼まれる。保険会社は「サマータイム・ブルース」で知り合ったラルフ・デヴローがいる会社である。
一方、マックス・ラーヴェンタールの息子でチェロ奏者のマイクルと妻と娘カリアと、ロティの昔の恋人でクラリネット奏者のカールがシカゴにやってくる。マックスの家でのパーティに侵入してきたのがポール・ラドブーカで、彼はセラピストの治療によって過去のことを思い出し、マックスと血縁であると主張する。そしてカリアにつきまとうので、危険を感じたヴィクはストリーター兄弟にカリアの護衛を依頼する。
ロティが子ども時代を話すところからはじまった物語は、第2次大戦でナチに殺されたロティの両親と祖父母の物語であり、イギリスに弟と逃がされたロティの苦難の物語を核に進んでいく。
アフガンに取材にいくモレルを見送ったヴィクは、保険会社の不正を調べるかたわら、ロティの不機嫌の理由を調べ、ラドブーカの身元を調べる。相変わらずよその家に忍び込んだり、有力者と大げんかしたりと妥協しないヴィクがいる。
そしてホロコーストから何十年も経ったいまも癒えない傷があり、ロティにもあまりにも苦しい過去があった。
マックス・ラーヴェンタール、ラルフ・デヴロー、マリ・ライアスン、サル・バーテル、ストリーター兄弟、メアリ・ルイーズ・ニーリィ、ミセス・コルトレーン、もちろん出番は少ないがミスタ・コントレーラスとペピーとミッチ、等々知った顔に出会える喜びもたくさん。いまざっと読み終わったとこである。少し時間をおいてもう一度ゆっくりと読もう。(早川書房 2200円+税)

2003.1.22


干物があれば…


毎日の献立がちゃんとととのうと気分がいい。朝起きて今朝はなにを食べようと考えて、たいして変わりばえはしないが、決まりのヨーグルトとバナナとミルクと紅茶、それにスープ類、野菜とハム類・卵等の一皿を加える。うちは朝がいちばん豪華で、昼ご飯はカンタンに1品(麺類が多い)ですます。
晩ご飯が迷うところだが、最近は干物の頂き物がいろいろとあるのでありがたい。北海道の鮭と姫ホッケ、静岡の金目鯛とアジが冷蔵庫と冷凍庫に入れてある。それに豆腐系と野菜と納豆があれば晩ご飯の献立ができる。
姫ホッケは去年の例会に札幌から参加されたOさんが送ってくださった。例会の話題で北海道の魚の話になって、姫ホッケを食べたことがないなら送ってあげましょうということになった。ホッケの干物は魚そのものを干してあるが、姫ホッケは3枚におろしたものを生干しした上品な姿である。色も白い。さっと焼いてマヨネーズとレモンをつけて食べたらいいと聞いて、やってみたら美味しかった。3回に食べてまだ半分残っているのでうれしい。
今日は鮭を焼いて、厚揚げと白菜の炊いたん、自家製たくわん、納豆ですました。あとはリンゴとミカンで、このメニューではすぐお腹が空いてくるんだけど、あとは白湯を飲むだけで寝るまでガマンである。

2003.1.21


お尻ひねったげまひょか


なんか最近もの忘れすることが多い。緊張しているとそうでもないが、日常生活でのついうっかりが多い。なにかするために立ち上がって、そのとき気がついた他のことをやると、さっきなんで立ったか忘れている。台所になにか用事があっていったのに、台所でなにをしにきたかを忘れている…。
いちばん忘れるのは単語とかものの名前である。よくしたもので、日常生活では“あれ”と言うと、相手は“あれ”はなにかわかることが多いからまあいい。俳優の名前とか本の名前とかになると、「うー、あれ、あれ・・・」と言って喉のところまで出てきているのに、それ以上は出てこないから気持ちが悪い。3日くらい後で突然思い出すってこともある。今日は「ここまで出てきてるんやけど」と言うたら、昨日の落語のおかげで、「口開けてみ、のぞいてやるわ」と言われてしまった。
昨日の桂ちょうばさんの「月並丁稚」では、丁稚が主人からの口上を覚えて知人宅に行くわけだが、「こんにちわ」で「はい、こんにちわ」と返事をされると次が出てこない。そこで合いの手なしで全部自分の記憶どうりにやらせてもらうのだが、途中まで出てきてまた詰まってしまう。そこで、「すんませんがお尻ひねっとくなはれ、思い出しますよってに」となって、お尻を出してひねってもらい、口上をぼちぼち言うわけだ。「喉まで出てきてまんねん、口を開けるから喉からひっぱり出しておくなはれ」。
今度は相手が返事の口上を持って帰るように言うが、なにを言うつもりだったか忘れてしまう。そしたら丁稚の言うことには、「だんさん、お尻ひねったげまひょか?」

2003.1.20


田辺寄席 第347回(2003年1月)


田辺寄席の日は家を12時出発なので忙しい。朝昼兼用ご飯を食べて片づけて、洗濯ものを干して新聞を読んでから出かけた。1時について席をとるとほっとする。15分から「開口0番」がはじまる。今日は仲入りの時間にぜんざいが振る舞われるそうで、そのせいかどうか、満員で立ち見も出る賑わいだった。終わってからは福引きがあってお正月らしい雰囲気だった。
演目は「開口0番」が桂文太、「月並丁稚」桂ちょうば、「世帯念仏」桂米平、「河童女房」桂枝曽丸、「いの一番(幾代餅)」桂文太、「抜け雀」桂米平。
今日は全体におもしろかった。「月並丁稚」は丁稚が主人に月並の茶会の日時を知らせる口上を覚えさせて、知り合いの家に行かせる噺。他愛ない噺だが若さで聞かせていた。桂米平は相撲の武蔵丸を連想させる大男だった。マクラの夫婦で沖縄パック旅行に行った話がおもしろかった。「抜け雀」は毎度おなじみ、宿賃を払えない絵師が描いた、雀がついたてから抜け出す噺。「河童女房」は美人の河童を嫁さんにして子どももでき、しっかりと働くようになった男の噺だが、河童だという噂が広まり、近所の若い衆の襲撃を前に妻子を逃がしたところで目が覚める。
「幾代餅」は米屋の奉公人が錦絵の幾代太夫を見て惚れてしまう。主人は1年間働いたら新町遊郭へ連れて行ってやると約束する。しっかり1年働いたお金を持って遊郭に行き、金持ちの息子という触れ込みで太夫に会うが、気に入られて一夜を過ごす。翌日米屋の奉公人だとあやまると、太夫は来年年期が明けるから夫婦になろうと約束する。幾代太夫はほんまにやってきて、二人は新町橋のあたりで餅屋をはじめ、幾代餅と名付けて商売繁盛する。文太さんのちょとかすれ声の女性の話し方ほど優雅なものはない。今日も大満足。
長居に住む知り合いと夕方待ち合わせて西田辺でいっしょに居酒屋で晩ご飯を食べた。久しぶりに、どて焼き、餃子、焼きそばなど居酒屋メニューがうまかった。

2003.1.19


イワシが安かったので「イワシのゆなます」


スーパーに行ったらイワシがめちゃ安かった。こういうときは「イワシのゆなます」なのだ。だいぶ前にたまたま見たNHKの料理番組で、年配の先生が昔から土地に伝わる料理だと紹介していたのを、メモっておいたもの。わが家ではイワシが安いときに出番となる。お酒にも合うしご飯のおかずにしてもとてもおいしい。
作り方はカンタン。イワシは手開きで頭と内臓と骨を取っておく。土生姜を刻んでサラダオイルで炒める。そこへ千切りにした大根と人参、そしてイワシを入れてさらに炒める。砂糖、醤油で味付けして、火を止めてから酢を少々入れて混ぜる。それでできあがり。温かくてもうまく、冷めてもおいしいのでつくり置きもオーケー。
大根と人参の千切りはめんどうなので、道具でやればいいって先生も言っていた。うちでは大根おろしをするのの親戚みたいな4面あるやつを使っている。
今日の晩ご飯のメニューは、揚げと小松菜のみそ汁、イワシのゆなます、ほうれん草のおひたしとちりめんじゃこ、自家製たくわん。デザートはほうじ番茶と甘納豆(無農薬栽培の白花豆を甘納豆にしたもの)でした。

2003.1.18


なにげないおしゃべり


昨日は晩ご飯を食べてから会報発送仕事をした後、12時15分から「アリーmyラブ」を見た。アリーが10年半前に冷凍保存した卵子から産まれた少女が訪ねてくる、という奇抜なストーリーに驚いたが、これからはこういうこともありなんだろうね。またリチャードがかかわる裁判では、海辺に横たわる妻の頭をサッカーボールと間違えて蹴飛ばして殺してしまった男の弁護をしていた。これはオリバー・サックスの「妻を帽子とまちがえた男」と同じ症例らしい。この本はそのうち読もうと思いつつまだ読んでなかったので、こういう内容とわかってよかった。
その後は眠くて食器洗いも適当に、ベッドに直行してしまった。今日はプールをさぼって(最近よくさぼる)近くの美容室で髪を染めてカットしてもらってきた。
髪を洗うのに以前のように仰向かなくていいので、おしゃべりを続行できるのだが、初詣にどこへ行ったとかいう話に相づちをうっていて、そうそう、暮れに京都に行ったけど駅ビルで目的を達してどこへも行かず帰ってきたと言った。「ダンナさんとですか」と聞かれたので、うんと返事をしたら「仲良しなんですね」ともどってきた。「そうやね、まあ仲良しさんかな」なんて軽く返事をしたら「その返事はちょとないですよ」と言う。「ぐっと返事に詰まるやないですか、ちょっとあからさますぎですよ」とのこと。大笑いしてしまった。
よそでも言われたことがあるが、どうもわたしの会話はストレート過ぎるらしい。多分、子どもの頃はアメリカの少女小説の読み過ぎ、長じてはハードボイルドミステリーの読み過ぎのせいであろう。

2003.1.17


いまごろローズマリーの花


去年の夏、料理に使うためにローズマリーの小さな苗を買ったが、可愛らしいので切り取るのはやめて観賞用にしていた。冬になって外では寒かろうと家の本棚の上に置いていたら、それが良かったみたいでツボミがついてきた。昨日ついにひとつ咲いてくれて、まだまだこれからどんどん咲きそうでうれしい。ハーブの本で調べたら、ローズマリーは5・6月に咲くと書いてあった。うちのは温室咲きみたいなものかな。葉っぱも花もすごく繊細で可愛らしい。
いっしょに買ったタイムはそのときあった葉っぱは料理に使ってしまった。その後にいま2代目のきれいな葉っぱがびっしり生えてきている。これも部屋の窓際で元気がよい。
先日は桜草の一種の細かいピンクの花の鉢を買ったが、これも窓際で春を呼んでいる。そのとき以前ここで買った「ホヤ」というちょっと奇妙な鉢植えが花を咲かせた話をしたら、それはとても珍しいことで、植木屋さんもまだ見たことがないと言う。こんど写真を見せると言ってきた。(ホヤの花は2002年6月の表紙になっています。説明文は5月17日で、このときはホヤという名前を知らなかったので、金平糖のような花と書いています。夢みたいな花でした。)

2003.1.15


レジナルド・ヒル「子供の悪戯」


もう病気ですね。なんでこんなにおもしろいんだろう。こんなことなら早くから読んでおいて、講演会のときに質問したり、サインをもらうとき一言言ったりすればよかった。ははは・・・講演会はもう数年前の話である。たしかエリーがどうのこうのって質問があったんだけど、わたしにはちんぷんかんぷんだった。いまならエリー支持にまわって嫌い派をやっつけるのに(笑)。サイン本も知り合いのファンにあげてしまってここにない。ああ、もったいなこことをした。
「子供の悪戯」は「死にぎわの台詞」の次作で、前作に出てきた若い警察官も登場しておもしろい。大金持ちの未亡人が死んで莫大な遺産は遺言によって、行方不明の息子に残される。息子が90歳になるまで待って戻らなければ、3つの団体に寄付するとのことで、それらの団体も固唾を飲んで見守っているなか、息子がイタリアから帰ってくる。本物か贋物か。遺言執行弁護士に相談を受けたダルジールだが、間もなくその息子と称していた男が殺される。
かたやウィールドに昔の恋人にかかわる青年クリフから電話がかかる。クリフはウィールドに冷たくあしらわれて、新聞社に警察にホモがいると電話をする。なんやかやあって、ウィールドとクリフはベッドをともにするが、その後でケンカしてクリフは飛び出し、翌日死体で発見される。
そういうことでウィールドがゲイであることが表沙汰になるが、ダルジールとエリーはとうに知っていたというのに、パスコーはショックを受けるのがおもしろい。
未亡人の甥の娘で、真面目で子供っぽいレキシーは弁護士の事務所で働いているが、策謀をめぐらし帝国翼賛婦人会(こんなところにお金を渡してなるものですか、ということ)にいくべき遺産を手にする。そして、そこまでを突き止めたパスコーにその金を譲渡した団体(東アフリカ飢餓救済基金)の領収証(帝国翼賛婦人会の正式代表宛)を見せる。鮮やかな女性である。

2003.1.14


ねこ型ロボット


「ねこ型ロボット」って知ってはる? ドラえもんのことって誰でも知ってるわなあ。いまテレビの上方演芸ホールで月亭八天(おもろかった、うまい)が落語をやっとって、マクラに娘さんの話をしやってね。娘さん、一人遊びで幼稚園での1シーンをキャラクター人形を使って再現するんやて。その人形の名前をずらっと言うた中に「ねこ型ロボット」があってん。笑ろたわ。なんでやと言うと、実はうちらがドラえもんが「ねこ型ロボット」やということを知ったんが、おとといのことやねん。
おとといの夜、テレビでドラえもんの特集ちゅうのか、映画館でやったんを放映しとってね。SFものでけっこうおもろかった。それでドラえもんが「ねこ型ロボット」やというのを知って、よーく顔を見たらネコやんか。鈴もつけてるしなあ。ほーっと感心したばかりやったんで、おもろかったというだけのことやねんけどね。つまらんことで笑うなあ。まだ箸がこけてもおもろい年頃なんかなあ(よう言うわ)。照れ(笑)。

2003.1.12


あれもこれも


今日はプールには絶対行くつもりだけど、図書館にも行かなければ…。今日が期日のがあって返さなければいけないし、まだ読んでないマイクル・コナリーの予約延長もついでにしてこよう。相棒が予約した本を代わりに受け取ってくるよう頼まれたのもある。
図書館は土曜日なので混んでいる。返却と延長をまずすませた。わたしの返したレジナルド・ヒルは予約が入っていたみたいだ。本棚にいくと、この前なかった未読本が2冊もどっていた。どなたか知らねども、わたしと競ってレジナルド・ヒルを読んでいる人がいるみたい。
予約本を受け取るとき、係員が不慣れなようで3回も予約本の棚を見てまわり、そして本当に予約した本が入ったと連絡があったのかと聞く。連絡がないのに勝手にとりにくるかいな。あせってまた探しにいっても見つからない。ずらーっと後に並んでいる人の視線が背中にささっちゃってる感じ。わたしが悪いんとちゃうでーと後を向いて叫びたい。隣の係りの人が見かねて、「こちらに来てください」とわたしを隣の窓口に誘っておいて、アイウエオ順に置いてある所定の場所からさっさと持ってきた。
午後からプールに行った。水に入ると気持ちよくて、来て良かったと思う。土曜日の午後なのに空いている。プールの近くの人の話によると、健康第一の人たちはどんなに寒くても休まないらしい。早朝に起きてラジオ体操して公園をウォーキングして、朝ご飯を食べてプールに9時にくるそうである。わたしが行くのはそういう人が帰った後なので空いているらしい。
バス待ちには目を休めるから本なしと言いながら、誘惑に負けて今日は本を持ってきてしまった。ちらちらとバスの来る方向を見ながら、ダルジール、パスコー、ウィールドのヨークシャー警察のめんめんの活躍に胸躍らせるのであった。

2003.1.11


サボリぐせ


去年風邪を引いてプールを休んでからサボリぐせがついてしまった。12月は仕事が忙しかったせいで休むことが多く、たまに土・日に行くとバスが遅れたり抜けたりするもので、年末は早くから休むことにしてしまった。年明けは寒さである。あの寒さにはめげた。今週はやっと水曜日に初プールだと出かけて、それからまた休んでいる。行ったら気持ちがよく体調もよいのだが、行くまでがいけない。登校拒否ほどではないが、用事があることにかこつけて行かないのである。その代わりに本をけっこう読めたかな。そして肩凝りに悩まされている。プールよりも図書館のほうが好きなのもいけないな。3連休の間は真面目にプールにいかなきゃ。せっかくアメリカ村で買った毛糸の帽子もあることだし、ロングマフラーも巻いておしゃれして出かけよう。
でも明日から会報づくりがある。どういうものにするか考えてはいるんだけど、まだかたちにまでいっていない。そうそう、水中歩行しながら考えることにしよう。

2003.1.10


レジナルド・ヒル「闇の淵」


ダルジール警視&パスコー主任警部(この本の最後のほうで主任に昇格する話がある)ものの長編第10作目。今回は中部ヨークシャー大学の公開講座の講師にエリー・パスコーが依頼されたところからはじまる。炭坑の労働組合後援の炭坑夫たちのための講座で、エリーは喜んで下準備の上、子どもを託児所に預けて出かける。
講習を受けにきた坑夫の中に、コリン・ファーという頭がよいが乱暴者の美青年がいてエリーの関心をひく。この炭坑の町で、3年前に7歳の少女が殺される事件があり、コリンの父親が最後にいっしょにいたということで逮捕された。結局無罪になったものの、3ヵ月後にビリーは廃坑に落ちて死んでしまった。コリンは父親の潔白を信じて疑惑を晴らそうとしていた。そこでまた炭鉱内で殺人が起こり、コリンが容疑者とされ、ダルジール&パスコーの捜査が始まる。しかし、エリーがコリンをかばって、逃げるのを手伝ったり、コリンの母親のところへ行ったりと、警察と相反する行動をとる。
最後はちゃんとかたがつくのだが、今回はヨークシャーの炭坑のこと、炭鉱労働者のこと、炭坑労働者用住宅に住む閉鎖的な人々のことなどがよくわかってよかった。労働者階級と中産者階級の溝が、エリーに対する炭坑の女たちの態度からも伺うことができた。
パスコーとエリーがコリンの家で出くわすところもおもしろい。パスコーはエリーの高慢ちきなところが好きなんだとよくわかった。エリーがダルジールにくってかかるところもおもしろかった。夫の上司にあんな口をたたけるなんて!

2003.1.9


VFCサイトが「So-net」の「今日のURL」で紹介された


昨日このページにアップしたのが夜中の1時頃だった。その後で確認しようとしてホームページを開いた。ふとカウント数を見たら、あれっ、なんで? 今朝見たときからうんと上がっている。チェックしてあった数字を引き算してみたら70を超えている。うそーっ、うちのカウント数は毎日30〜40といったところだ。だれかがリンクしてくれたにしても多いなあ、と不思議に思ってアクセス先を調べたら「So-net」のサイトの中にある「URL TODAY 今日のURL」というところだった。毎日おすすめのURL20数件を解説付きで載せている。そしてトップページにはその中からセレクトされた2つのサイトが載っている。1月7日はトップページにVFCサイトがどーんと載っておりました。ただし、毎日午後2時頃に更新されるので24時間の天下であった。うれしいので全文紹介します(当サイト「ニュース」ページにも関連記事を入れますのでお読みください)。

女性が主人公、でも、ハードボイルド「VIC FAN CLUB」
http://www.sgy2.com/vic/ URL掲載:URL TODAY編集室
「VIC FAN CLUB」は、米国の作家サラ・パレツキーが書いたハードボイルド・ミステリー「ヴィク・シリーズ」を紹介しているファンサイト。ファン同士の盛り上がりには終わらずに、ミステリーやハードボイルドを知らない人にもわかりやすく作品を紹介しようとする姿勢には、作品への愛がこもっている。事件を解決する主人公ヴィクの颯爽とした様子だけでなく、細やかな人間描写や社会問題を取り上げる真摯な姿勢にも共感が集まっているようだ。

2003.1.8


LISBETH ZWERGER「NOAH'S ARK」


図書館の外国絵本の棚から借りてきたリスベート・ツヴェルガーの絵本で、「ノアの箱船」の物語に絵をつけたもの。1997年に描かれているから昨日読んだ「あかずきん」から14年経っている。パッと見てリスベート・ツヴェルガーとわかるけれどもかなり違っているようにも思う。原画展で気がついたのだが最近になって全体が明るくなっている。暗い色が少なくなって澄んだ感じがする。
「ノアの箱船」は旧約聖書だったかな。わたしは聖書の知識はからきしないけど、この話なら常識程度には知っている。その基礎知識の上で英語だけど字が大きいからボチボチ読んでいこう。
ノアは大きな船にあらゆる動物をひとつがいずつ乗せていく。いろんな虫(カブトムシ、アリ、ミミズなど)、いろんな動物(みみずく、馬、犬、亀、豹、猿、カンガルー、キリン、ラクダなど)、そして鳥類(鶴、白鳥、こうのとりなど)。集めた動物がぞろぞろと歩いてくる。鳥は飛んでくる。ゾウ、牛、サイ、シマウマ、キツネ、シロクマなどが船に乗り込んでいく。この動物たちの絵が素晴らしい。
雨は降り続いて家の屋根を越える。魚が家の窓を出入りするようになった。地球が水びたしになったのだ。船の中ではコアラが仲良く箱の中でユーカリの葉っぱを持っている。ネコは小屋の中で眠っているのと不安そうなのと。ネズミのしっぽも見える。壁につけた止まり木には鳥たちがつがいで寄り添っている。
雨があがり水が引いていくと虹がかかり、山の上に箱船は留まっている。動物たちは解放されて大喜び。ここで絵本は終わり。めくって、まためくりかえして、何度見ても動物たちがかわゆい。

2003.1.7


リスベート・ツヴェルガー「あかずきん」


図書館で借りてきた「あかずきん」は1983年に初版が富山房から出ている。わたしが洋書の絵本を見て魅了されたころに、もう翻訳が出ていたのかと驚いてしまった。そういえば、絵の感じが、わたしが持っている「くるみ割り人形」に似ている。女の子が少しも可愛くない。全体の調子が暗い。2冊ともドイツのお話だから、ドイツ的と言ってしまっていいのだろうか。
全体にリアルな絵で、狼がおばあさんの服を着ているところが、順番に1ページに4つの姿として描いてあるんだけど、最後にちょっとおすましした狼の姿がおかしい。キュートな狼だ。表紙にも使われている、狼があかずきんをだますところも狼のほうが、あかずきんよりもずっとキュートだ。狼のお腹を切り裂いて、飲み込まれたおばあさんを引っ張り出している絵にもにユーモアがただよう。後で食べられたあかずきんは元気に飛び出してきたが、先に食べられたおばあさんが息も絶え絶えで出てきたのは、狼のお腹で少し消化されたのかもしれない。

2003.1.6


最低気温0度


今年は11月の末から寒くて、12月もどんどん寒くて、年が明けたらもうひとつ寒くなった。大阪で0度なんてあんまり経験ないよね。昨日は雪がけっこう降った。例年、雪のせいで電車が遅れ、大学入試がどうとかとニュースでやるから、1月末から2月にかけてに1回くらい降るわけだ。それが去年初雪が降り、昨日もそこそこ降ったのでびっくりの冬だ。
今日はこの寒さを外で体験せなあかんと思って出かけることにした。年末からほぼ1週間どこへも行っていない。昨日ポストとローソンに行っただけである。いっぱい着込んででかけたが、風が冷たくて顔が寒かった。毛糸の手袋の編み目から風が入る。10分歩くと堀江1丁目でチャルカがある。今日はそこまで。
英国風にミルクティーと手づくりジャムのサンドイッチを頼んだ。お茶はポットで何杯分もあるしミルクも温かい。持っていった絵本を開いてゆっくりしていると、じんわり幸福感が広がっていく。
晩ご飯はお酒なしで、湯豆腐、大根の煮たの、目刺しという簡素なものであった。食後は焙じ番茶と草加せんべい。いままでクラシックを聴いていたが、これからテレビの上方演芸ホールで「時うどん」(桂米吉)があるので切り換える。

2003.1.5


レジナルド・ヒル「死にぎわの台詞」


レジナルド・ヒルがクセになってやめられない。図書館で借りてきた3冊のうち古い順番に読むことにして最初の1冊。1984年、パスコー主任警部とエリーが結婚してロージーが生まれて間もないころの話である。今回は若い刑事がつまずきながらも、パスコーのもとで仕事を覚えていくところが微笑ましく描かれている。またダルジール警視に“マギーの阿呆ども”と呼ばれている巡査ヘクターの態度がおもしろい。マギーというのは時の首相マーガレット・サッチャーで、警官の資質よりもマギーの経済政策で警官になった若者のことを批判して言っているわけだ。
3人の老人がそれぞれの場所で死ぬ。1人は自宅の風呂場で入浴中に襲われて死に、1人は大雨の運動場で倒れて泥まみれになって死に、1人は自転車に乗っていてクルマにはねられて死んだ。
かたや、エリーの実家では父親の痴呆状態が進行している。自宅で介護されている老人、一人暮らしの老人、介護施設にいる老人、さまざまな人間の老後の姿が描かれる。わたしはこの作品は殺人事件にことよせて、1980年代はじめのイギリス労働者階級の老人問題を書いた小説と受け止めた。
ダルジール警視は老人をはねたクルマに乗っており、酒酔い運転をしていたという目撃者がいるということで休暇をとるように言われる。事件には助言をするくらいでパッとしないが、最後には麻薬を摘発してやっぱり主役である。

2003.1.4


森田童子が好きだった


黒木瞳の話題が続くが「Grazia」2月号(研究・黒木瞳)に「私の好きなもの」というページがあって、1、お酒 2、歌手 3、お花 4、アイドルという質問に答えているのだが、2、歌手の答えが森田童子なんですね。びっくりした。すごく影響を受けたと書いている。大地真央さんに結婚する彼を紹介したとき、「この子暗いわよ、森田童子が好きなの」と言われたそうな。(原文は「言われました(笑)。」となっている。)ふーん。
森田童子は一時期わたしも好きだった。そう、20年くらい前になるかな、ラジオでちょっと聞いてびっくりしたのよね。澄んだ声とくらーい歌い方に。当時、うちの事務所の隣りがスターライトという音楽事務所だった。隣りのよしみでいろんなコンサートの入場券をもらった。甲斐バンド、高中正義、憂歌団、その他当時のフォークシンガーのコンサートいろいろに入れてもらったものだ。
スターライトが森田童子のコンサートをやると聞いて、これはちゃんと入場券を買って、厚生年金中ホールと御堂会館と2回行った。
森田童子は黒い服で黒いサングラス、じっと椅子に座ったままでギターを抱えて歌った。かぼそい声で「ボクは・・・」と語るように歌うとき、背中が寒くなるような気がした。桜が散っているという歌がいちばん好きだった。よかったと隣りへ行ってしゃべっていたら、そこにいた社長が見本のLPレコードをくれた。うれしかったなあ。わたしのことだから、それで森田熱は終わってしまったんだけどね。
数年前にテレビのドラマかなんかに取り上げられて話題になったと聞いたが、どうだったんだろう。いまごろ「好きな歌手は森田童子」と言う人がいるとは…。若いときに影響されたらそうなるかもしれへんね。すごい歌手だった。

2003.1.3


一日中「忠臣蔵」


今日はテレビ番組表を見たのが運のつき、お昼の3時頃から12時前までテレビの前でした。ご飯の支度に立ったり食べたり、メールを見たり、年賀状を書いたりはしましたが、後半はほとんど「忠臣蔵」見てましたね。なんでこんなに好きなんでしょう。出てくる人はほとんど知ってるし、次に言うセリフも知ってるし、エピソードはみんなおなじみ。なのに見ている。なんでも知っているので安心して見ていられるからかな。相棒も黒木瞳が大石内蔵助(中村吉右衛門)の妻を演じていたので、喜んで見ておりました。若い子がおかるになって主演というのでなく、落ち着いた二人が大石夫妻で主演というのはとてもよかったです。黒木瞳の出番が多かったのがよかったし、他の女性もいままでの「忠臣蔵」に比べると主体的というか積極的でしたね。こうやって主題は同じでも、時代のありようで内容が変わっていくんでしょうね。今日は清水一角の田辺誠一がオトコマエで好ましかったです。田辺ファンになったぞ。
すんだあとがたいへん、食卓かたづけて洗濯物干して、年賀状を少々やっつけて・・・さすがに、当分「忠臣蔵」にはおさらばしていたい。

2003.1.2


レジナルド・ヒル「ベウラの頂」


先月読んだ「武器と女たち」と「幻の森」の間の作品で3作中でいちばんよかった。だんだんヨークシャー地方、ダルジール警視とパスコー主任警部とウィールド部長刑事のファンになってきたし、女性刑事ノヴェロの心情もわかってきた。
ダム工事のために湖底に沈むことになっている山の中の村で、15年前に少女が3人相次いで行方不明になった。村と警察が必死で捜すが、容疑者の青年ペニーも姿を消し、事件は迷宮入りする。ダルジールはそのときの屈辱を忘れられない。
村は水没し、村人はほぼ全員が近くの町に移住し、一人助かった少女ベッツイは両親の死後、親戚(一人娘メアリーが行方不明になった家)に引き取られ、いまはエリザベスと名乗ってオペラ歌手になっている。彼女がこの地でコンサートをすることになり、歌うことにするのがマーラー「亡き子を偲ぶ歌」である。ベッツィはなぜ生き残れたのか、そしてどんなふうに育っていったか、これもまたおそろしい話だ。
パスコーは娘ロージーが大病になりエリーとともに看護の日が続く。ノヴェロはパスコーから引き継いだ聞き込みを続けるうちに、ペニーに似た男が施設にいるペニーの祖母を訪ねてきたのを知る。パスコーに連絡に行ったノヴェロの話からパスコーが推理していき、捜査は最後にコンサート会場に行き着く。鍵は「亡き子を偲ぶ歌」にこめられていた。
その夜、パスコーは洞窟から少女たちがそれぞれ行方不明になったときのまま現れる夢を見る。警官たちは翌朝行方不明の少女たちを目指してベウラの頂を登っていく。
金髪の少女たちが行方不明になる物語は、映画「ピクニックatハンギングロック」を思い出させる。あの少女たちはどこへ行ったんだろう。

2003.1.1

 

写真:なにわの伝統飴野菜

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