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1999年8月


わたしの「グリーン・スリーブス」

「グリーン・スリーブス」という歌にはじめて出会ったのは、ドロシー・L・セイヤーズの「大学祭の夜」だったから、もうずーっと昔のことだ。(詳しくは当ホームページ「ミステリー」のページにある、ドロシー・L・セイヤーズ「大学祭の夜」をお読みください。)
主人公の作家ハリエット・ヴェインと探偵ピーター・ウィムジイ卿が事件捜査の合間に街で出会って、ピーターがハリエットにプレゼントをすることになり、骨董店でハリエットが前から欲しがってた象牙のチェスを贈る。そのときピーターが店にあったスピネットでメロディを弾いて歌い出し、ハリエットが加わる。その歌が「グリーン・スリーブス」。翻訳が古いので歌詞も古風、「ああわが悦び、汝が名はグリーン・スリーブスよ」っていまも覚えている。メロディを知ったのはずっと後のことだ。
新しい翻訳が待ち遠しい。

1999.8.27

アリスン・アトリー「むぎばたけ」

児童書専門店「木馬館」9月のホームページ(http://member.nifty.ne.jp/mokuba/)おすすめ本の1冊です。
アリスン・アトリーの長編小説「時の旅人」は行間からハーブの香りがただよい、「グリーン・スリーブス」の歌声が聞こえてくる美しい作品です。感じやすいロンドンの少女が田舎の家で出会ったのは、16世紀という時間を超えた場所でした。エリザベス1世に幽閉されたスコットランド女王メアリーを救出しようとする貴族の屋敷。美しい奥方や美青年が出てきて読む人を惹きつけます。
そのアリスン・アトリーが書いた短編に、片山健さんが絵をつけて美しい絵本ができあがりました。ハリネズミとノウサギのジャックじいさん、カワネズミが誘い合ってむぎばたけを見に行きます。美しい月夜にむぎが夜風に吹かれて穂と穂がこすれあい、ひそひそとささやいているのを。
読んでいると時間がゆっくりと流れ、気持ちが落ち着きます。手元にずうーっと置いておきたい絵本です。

1999.8.26

ツクツクボーシ

毎年どこかでツクツクボーシの声を聞いている。緑地公園のコンサートへ行ったとき、お盆休みに千里の親戚を訪ねたとき、生駒山に登りながら、長居公園で散歩中…。今年は父のいる施設の裏山で聞いた。これで今年もツクツクボーシの声を聞いたなあと、なんとなく安心した。
今日はバスの窓から空き地にススキの穂がそよいでいるのも見た。これで葛の花を見られたら最高なんだけど…。街の中の葛は葉っぱばかりがたくましく繁って、花が咲いているのを見たことがない。水引草の花が見られたらもっと最高だけど、郊外へ行く元気と余裕があるかな。

1999.8.24

エド・ディー「アイリッシュの誇り」

ちょっとくさい題やけど、最近当たりが多い警察小説の新しいのだから買ってみた。創元推理文庫で660円。ニューヨークの警察にはアイルランド系の人が多いのはよく知られたことで、この小説ではくわしく彼らの生態を知ることができる。作家自身ニューヨーク市警組織犯罪課に20年勤め上げた人だそうだ。
おもしろく読めたものの、もうひとつって感じ。怒りが足りないって言ったらいいかな。ジョン・リーバス警部が闘うイアン・ランキンの作品のあとに読んだからかもしれない。多分次作は買わないでしょう。
本の後ろに新刊の広告があって、そのあとにウィリアム・アイリッシュの特集広告が2ページある。これってなに? 題が「アイリッシュの誇り」だからってウィリアム・アイリッシュの本の広告なんて…。

1999.8.20

図書館のビデオ 6 シビル・シェパードの私立探偵

図書館のビデオの棚は空きばかりで、最近はあきらめてご無沙汰していたのだが、先日のぞいたら、シビル・シェパードの「私立探偵ウエザース」があったので借りてみた。
シビル・シェパードは金髪の美女だけど、美女でありすぎて、いまのような時代には役がつかないんじゃないかと思っていた。「ラスト・ショー」美少女過ぎた。「タクシー・ドライバー」美人過ぎた。年月がたち、突然「こちらブルームーン探偵社」ってテレビドラマに主演、人気沸騰したんだよね。
この映画は彼女の制作・総指揮で、“今流行りの”ってちょっと手垢の付いた言葉だけど、その通りの女性探偵を演じている。美人で、拳銃と空手の名人で、へらず口が達者ときたら、誰かみたいやね。手を引けという昔なじみの刑事さんも出てくる。パソコン上手の青年は彼女にあこがれちゃって…という具合。結局、道具立てに負けてしまったつまらない映画になった。
それでも数年前にテレビドラマでヴィクをを演じた松坂慶子に比べたら天地の差だ。

1999.8.16

ロボット犬アイボが4匹

久しぶりにソニープラザへ行った。便せんとか小物とか見たくてね。お菓子もちょっとおしゃれなのがあるし、お小遣いを使うってふうなのが好き。上のほうの2フロアで無駄遣いして、エスカレーターで降りながら順にフロアを眺めていくと、バイオのデスク型があったのですこし遊んだ。でもねえ、マウスはあるけどキーボードがついてへんねん。
なんやかやと言いながら1階まで降りると人だかりがある。「アイボレース」ってソニーのロボット犬アイボのかけっこをやっている。4匹のアイボを4人が“馬の鼻ににんじん”という感じで1.5メートルほどをひきつけて行くレース。それぞれのアイボは人間の引っ張りかたによって表情が違う。子どもがうまく引っぱっていく。大人たちはおたおとなかなか進まない。子どもはこうしたらアイボがこう反応するとすぐ会得するんやね。
アイボの大きさはうちの猫くらい。思っていたよりメカニックで、ぬいぐるみ的な可愛さではない。でも1匹ずつしぐさが違って、飼い主の可愛がりかたによって違った魅力を発揮するのにちがいない。新聞やテレビで見た人は多いだろうが、本物を見た人は少ないんじゃないかな。それも4匹!

1999.8.15

かゆくて、かゆくて…

わたしはなぜか人より蚊にくわれる率がたかい。夕方の公園の散歩は藪蚊のごちそうみたいなものだ。ふだん「くわれた」と言わずになぜか「蚊にかまれた」と言っている。「くわれた」より「かまれた」という表現のほうが、蚊にかまれて腹が立っている状態を表しているような気がする。だれかといっしょに歩いていると必ずわたしが先にかまれる。 今日も猫の缶詰を買いに行った帰り、公園のグランドで子どもの野球を見ていてたくさんかまれた。気が付いて1匹血を吸っているところを叩き殺した。服の上からだってかむんだもん、腹が立つわ。<p>

冷房のところから帰って一息ついたときが蕁麻疹の出番だ。蚊にかまれて掻いているうちに、まわりが痒くなって蕁麻疹になってっしまうこともある。なぜか蕁麻疹は左右同じところが痒くなる。
温熱蕁麻疹というのだそうで、始めは冬に外から帰って暖まったら痒くなるのが定番だったが、最近は1年中冷え状態から暖まったときに痒くなる。ひたすら掻くと気持ちよく、そのうち治まるというのがいつものことで薬をつけたり、飲んだりしたことがない。

1999.8.12

夏野菜(2)

夏野菜はキュウリ、ナス、トマトだけではない。
ミョウガ、ササゲ、シシトウ、ズッキーニ、枝豆、それにカボチャ。
そうめんを食べるときに欠かせないミョウガの香りは夏の香りだ。干しエビでだしをとった汁。それに椎茸の細切りを炊いたもの、錦糸卵、ショウガ、梅干し、そしてミョウガ。休みの日の昼の食事にこれほどあうものはない。
ササゲはたいしてうまいものではないが、郷愁をさそわれる食べ物。ごぼ天と田舎風に炊いて食べる。 シシトウ、フシミトウガラシなど、ピーマンとはひと味変わった和風の味。チリメンジャコと炊いて食べる。
ズッキーニは昔は本のなかの食べ物だったが、最近はどこでも売っている。ラタトーユや野菜スープや野菜カレーに欠かせない。
カボチャ大好き。

1999.8.10

夏野菜

長いことおいしい野菜を手に入れるのに苦労してきた。野菜は重いしかさばるから、自然食品店に行って持って帰るのがたいへんだった。いまは有機野菜の宅配を頼んでいるのでほんとにラクだ。おいしい野菜がラクに手に入るんだから贅沢な話だ。
夏になってキュウリ、ナス、トマトがくるまで待ち遠しい。スーパーマーケットなら冬でも手にはいるけれど、ここは暑くなるまで、じっと我慢の子、収穫をまつ。そして入荷のお知らせがきて、1週間後に届けてもらえる。
子どものとき、母のふるさとで田舎暮らしをしたことがあって、トマトは朝起きてから、畑でもいで青くさいのを食べたものだ。それが忘れられなかった。長いこと思い出ばかりだったが、自然食品店というものができて、同じようにおいしいトマトが食べられるようになった。それがいまは運んでもらえるのだからありがたい。青臭さが足りないとまで贅沢は言っちゃいけないよね。

1999.8.9

イアン・ランキン「血の流れるままに」

イアン・ランキンの翻訳2冊目で、これも長くて力強い作品だ。翻訳1冊目の「黒と青」の2年前に書かれた、ジョン・リーバス警部シリーズの7冊目である。この本も原題(LET IT BLEED)はローリング・ストーンズの曲からとられている。
スコットランド、エジンバラ市の冬の事件で、2人の青年が追いつめるリーバス警部の目の前で自殺する。その死の周辺を調べて行くと、上から圧力がかかって、強制的に休暇を取らされる。その休暇中に独自に調べ続け、部下の協力も得て、調査は核心に迫っていく。スコットランドの上層社会の腐敗にせまるリーバスだが、ますます圧力が強まる。
最終的にはもうあかんところまできて、【やらざるを得ないことに走った─48時間酒を飲み続けるという業である。】しかし、そうしてはいられない。臭くなった服を捨て、お風呂に入って、着替えて出かける。つつくと何百人もの労働者の職がなくなる危険がある。考え抜いたあげく、ともかくも首謀者の官僚の息の根を止めることができた。でもその官僚はちゃんと高額の年金がもらえるんだけどね、ふふん。この現実感覚がいいよね。
自分の保身ばかり考えている上司たち、同僚の警官たち、夫の死で得たお金でいい暮らしができる妻とその女友達、寒々とした救いのない人たちの中に、非営利組織で働いているリーバスの娘サミーと、家出した市長の娘の麻薬からの立ち直りが、未来にほんのすこし希望を感じさせる。

1999.8.8

海の花火

天保山で仕掛花火があると新聞に出ていたので、夕ご飯を食べてから出かけた。30分で行けて、地下鉄往復1人460円というのがええところ。
7時半からというので、早めにうちわと水筒を持って海に面した階段に座っていると、人がぼちぼちと集まってきた。防波堤に仕掛けた花火と海の上に設けられた舞台での和太鼓の演奏とのこと。ちょっと曇っていたので、海へ沈む夕日は見られなかったが、夕焼け空はちょっとだけ見ることができた。すこし夕暮れの時間が早くなり、日が短くなってきたのを感じる。暗くなって、いよいよ始まった。花火を近くで見たことがないのでとてもうれしい。真ん前に座って見ることができてラッキー。
和太鼓を1時間というのは間がもたないっていうか退屈してしまった。でも、海と空があって風が吹いていたからじっと座っていられた。仕掛花火は規模が小さかったけど、海の上でもはじけてきれいだった。ナイアガラも真ん前なので迫力あったわ。
すんでから食べたかき氷(みぞれ)がおいしかった。
天保山も地下鉄ができて便利になった。昔は市電でごとごと行ったものだ。でも、わたしの場合、便利になってからは船に乗ることもないのがおかしい。

1999.8.7

トンボの乱舞、うぐいすの声

週に一度父親のいる施設を訪問するのが習慣化してきた。千里中央まで地下鉄で行き、病院の巡回バスに乗って山の中腹にある病院と隣接した施設まで行く。
バスは時間によって巡回する道が違うので、行く時間をできるだけ変えることにしている。千里から緑の濃い住宅地を豊中市、吹田市、箕面市とたどると、とても遠くへやってきたみたいな気になる。田圃もあって1週間でずいぶん稲の苗が成長するのを見届けるのが習慣になった。水田がもう緑一色になっている。空き地には葛の葉がたくましく伸びている。
今日は施設でお風呂に入っている父を待つ間に、すばらしいものを見た。中庭の空中にトンボが乱舞しているのだ。じっと眺めていると、どこからともなくうぐいすのホーホケキョという声が聞こえてきた。山の斜面にはオレンジ色の百合が咲いている。 幸せな一日になった。

1999.8.2

写真はわたしの朝顔(1999.8.4撮影)

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