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kumikoのほとんど毎日ページ

1999年4月


映画「猫が行方不明」

2年ほど前、たしか「ジェーン・エア」を見たときにチラシをもらって、見たいなあ、と思ってそのままになっていた映画をレンタル屋で見つけた。
「C階段」「パリを追いかけて」を思い出させる、パリの下町を舞台にした映画で、メイクアップアーティスト見習いのクロエという若い女性が、3年ぶりの休暇がとれたので、バカンスに行く予定をたてる。だが猫のグリグリを預けるところがない。あちこち聞き廻ってようやく近所のおばあさんに預けて出発するのだが…。
帰って猫を迎えに行くと窓から出てどっかへ行ってしまったとのこと。さあ、それから猫探しがはじまる。老婦人たちのネットワークがすごい。そこらへんで会うおばあさんたちがみんな心配してくれる。そして夜の猫探しのために用心棒までくっつけてくれるのもおかしい。
同居しているゲイの男の子、近所のドラムを叩いている男の子、同じアパートの画家の男。みんな感じよくてね。猫探しの用心棒もユーモラス。
クロエが働いているシーンも興味深かったし、夜遊びに出かけたときに、うるさい男から助けてくれたバーの女がレズビアンだったりしてね。とても笑えたし、猫が出てきたときはほっとした。どこから出てきたって? レンタル屋さんで借りて見てね。わが大阪が変わりつつあるように、パリの下町も変わりつつあることがわかる。

1999.4.28

ヴィクに続く女性探偵(1)ケイト・ブラナガン

ヴィクに続く、と宣伝された女性探偵は数多い。そのなかでいちばんヴィクに似ているとわたしが思っているのが、ヴァル・マクダーミド「ロック・ビート・マンチェスター」(集英社文庫 686円)のケイト・ブラナガンだ。
まずケイトが生活しているマンチェスターがヴィクのシカゴと似た感じに書かれている。ケイトがマンチェスターの裏町を聞き込みに歩くところなど、ヴィクがシカゴの酒場を軒並みに聞き込みに歩くところを思い出させる。人間臭い都会に生きる女性というところが似てしまうのかな。ちなみに、大阪とシカゴは姉妹都市だし、大阪は昔、東洋のマンチェスターと言われていた。親近感が湧くところかも。
気をつけて読むと、しゃべりかたがヴィクと似ている。へらず口と言わないまでも、相手をやっつけるのがうまい。だから読んでいてすーっとするんだわ。仕事がコンピューターで横領の調査をするのが専門で、ジャーナリストの甘えん坊の恋人がいてね。かっこいい。

1999.4.27

本が帰ってきた

本を貸したら返ってくると思ってはいけない。だからかなりの本を貸し出ししているけど返ってくるとは思っていない。「これはきっと返してね」というときは指定された本を貸すとき。
今日ずっと前に会を辞められた人から宅急便で本が帰ってきた。そう、帰ってきた、という感じ。例会でたまたま空いていた本を貸してあげただけなので、あてにしていなかったのに。それでもうれしいものだ。手紙とお礼の紅茶が入っていたのもうれしい。
VFCもはじめてから7年を超えているので、会員の出入りもけっこうあって、もう忘れている人もいる。「サラ・パレツキーさんに会ったからもういい」と露骨なことを言ってやめた人も、言わないでも、その通りの人が多かったことなど、思い出すと穏やかでいた気分がざわつく。辞められたあともおだやかな気分で思い出す関係がいいなあ。

1999.4.27

ローラ・リップマン「チャーム・シティ」

新しく翻訳された女性探偵もの。ボルチモアの元新聞記者テス・モナハンが主人公の第2作(翻訳はこれがはじめて ハヤカワ文庫 760円)です。表紙カバーのイラストを描いているのが さべあ のま、この人のイラストが好きだから、ほいほいと買ったしまったようなものだ。小説のほうもなかなか良かった。ただミュージシャンでガーデニングもする優しい年下の恋人クロウより、新聞社のえらい人に惹かれるところがどうも合点がいかなかった。おかしいと思っていたら、やっぱりストーリー展開のためやったわ。次作ではなんとかクロウとの仲を修復して欲しい。

最近の女性探偵たちはヴィクやキンジー、そして続いて現れたカーロッタ・カーライルやジェリ・ハワードなどとすこし違う。軽い。この軽さを自然体という人がいるけど、ヴィクの現れた時代にはヴィクは自然体であった。ただ、女性探偵という新しい道を切り開いていくために、目の前に現れる障害の大きさが、彼女をいかつくしていたのだ。カーロッタやジェリも生真面目で重い。
いまはすでに先駆者が切り開いた道があって、この「チャーム・シティ」のテス・モナハンや「私の愛したリボルバー」のステファニー・プラムや「チャイナ・タウン」のリディア・チンは軽やかに存在している。

1999.4.24

蕗、三つ葉、筍

先日このページに蕗の葉っぱのことを書いたのを読んで、和歌山の前窪さんが、自分んちの庭に生えてる蕗を採って送ってくださった。ミツバとタケノコ、ヨモギ、キャットニップも加わっていた。ありがたいのは“ものくれる友”ですね。大きな箱いっぱいの春の香り、さっそく食べたり、友人におすそわけしたりした。
ホームページってええなあって実感したわ。これからも食べ物のこと書いたら、宅急便が来るのかな、なんて、とらぬタヌキの皮算用やってます。

1999.4.23

絵本「白雪姫」

「白雪姫」ってディズニーものって感じがして、気にしたことがなかった。児童書専門店の木馬館へ行くたびに、棚の本をチェックしているんだけど、「白雪姫」の背表紙を見ただけで通り過ぎていた。それが木馬館のホームページの「今月の特集」用に用意された「白雪姫」を開いたとたんに魅せられてしまった。
絵がすごーくいいんです。深い暗い森、みだらに美しい王妃、何度も殺されかける悽愴な白雪姫…。さっそく買ったのは言うまでもない。王妃は毒の薔薇をにぎりしめて死ぬ。
(文 ジョセフィーン・プール 絵 アンジェラ・バレット ブックローン出版 1500円)

1999.4.21

蕗の葉っぱ

スーパーで年末に蕗が売られているのをみてびっくりした。あんまりだよなあ。寒いときに食べる気がおこらないよねえ。でも、売っているということは、食べる人もいるんだ。
桜が咲いたので、そうだ、蕗の季節がやってきたとばかりに買いに行った。わたしは蕗の茎より葉っぱのほうが好きなので、葉っぱのきれいなのを選んで買う。いつだったか市場の八百屋で、前の客が捨てていった蕗の葉っぱをくださいと言ったら、そこにあった葉っぱを山ほどくれた。がんばって佃煮を作ってほうぼうへ配った覚えがある。
いまは買うばかりだが、ハイキングで山の蕗を採って帰ったり、キャンプで炊いて食べたこともある。
もう30年も前だけど、泉北の団地で過ごした3年間に、近所の丘や田んぼでたくさんの山菜を採った。タラの芽、ノビル、芹、タンポポなど山菜の宝庫だった。小高い山にある墓地で、蛇がいっせいに冬眠からさめて出てきて、陽を浴びて身をくねらせているのを見たことがある。そこの斜面の山蕗のおいしかったことは忘れることができない。
さて、買ってきた蕗の葉っぱの佃煮もうまかった。

1999.4.6

桜を追いかけて

花見といってもどこかへ行くわけではない。宴会をするわけでもない。近所の神社、公園、学校の庭など、桜のあるところはわかっているので桜巡りの散歩をするだけ。いちばん見事なのは御津八幡神社の桜で、アメリカ村の喧騒の中に大きく枝を延ばして、豪華絢爛に咲いているのを観ると、なんとも言えず胸がいっぱいになる。
今年も生きていて桜を観たなあ、と感慨にふけるというパターンが今年もできて幸せなんだなあ。

1999.4.4

粉の料理

長い間ずっと外で働いていたし、仕事のほかにもすることがたくさんあり、家には寝に帰ると言っていいくらいだった。だからわたしの料理は時間がけっこうあるいまも「手早い」ことしか自慢の種がない。
ケーキやクッキーを作るなんてとんでもない話で、自慢じゃないが、粉をこねたことは産まれてから一度もない。ちょっと情けない話ですね。これは田舎の伯母のうどんをこねる手つきが、あまりにもすごかったこともあるのだと思う。だいたい小麦粉を使うのはムニエルを作るか、シチューに使うくらい…。
この間たまたま見ていたテレビで、熊本の老人がダンゴ汁を食べているので元気、というのがあった。最初にニンニクを炒めて、豚肉の細切れを炒めて、野菜をたっぷり、そして小麦粉をこねてダンゴをつくる。それが簡単そうだったので真似してみた。産まれてはじめて〈小麦粉をこねる〉のは楽しかったし、我が家の定番に入れていいくらいにダンゴ汁は美味しかった。
今度は蕎麦粉のパンケーキに挑戦してみよう。

1999.4.3

イアン・ランキン「黒と青」

「ミステリマガジン」98年9月号の作家インタビューで、イアン・ランキンがスコットランドの作家で、エジンバラのジョン・リーバス警部を主人公にしたシリーズを書いていることを知った。スコットランドというと、ウィリアム・マッキルヴァニーが書いている、グラスゴウのジャック・レイドロウ警部がめちゃくちゃ好きなわたしとしては、見逃すわけにはいかない。
ハヤカワ・ポケット・ミステリ、538ページで1,800円+税金。厚さに圧倒されたわけではないが、この本を読むあいだに、20回も読んでいる「高慢と偏見」や新刊の「誓いの渚」を優先してしまった。挫折しそうだったのを再度取り上げ我慢して読んでいたら、リーバス警部がアバディーンの北海油田の基地にでかけるところにきた。そこでようやく身が入ってどんどん読みすすんだ。映画「奇蹟の海」で、基地のプラットフォームでの労働場面があり、気になっていたが、北海油田というものがこれで少しだけ理解できた。
ストーリーはいろいろな事件が重なりあってすごく複雑。北海基地の労働者がエジンバラで転落死したところからはじまった事件を調べていくうちに、過去の連続殺人事件との関係もでてくる。環境保護団体の動き、警察の腐敗…。事件を追うリーバス警部のたゆみない捜査がすごい。
グラスゴウのレイドロウ、ロスアンゼルスのハリー・ボッシュに加えてエジンバラのリーバス警部と好きな警官が3人になった。

1999.4.1

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