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1998年11月分

山本やよいさん訳「既死感」

読み終わっての第一印象は、翻訳が大変だったでしょう、というひとこと。原作キャスリーン・レイクスはシカゴ生まれでノース・カロライナ大学教授の法人類学者。ノース・カロライナとカナダのケペックで、骨の鑑定の専門家として活躍しているそうだ。骨の鑑定の専門用語がばんばん出てくるのだ。
この「既死感」はテンペランス・ブレナン(テンペ)という作者の分身のような女性を主人公に、専門領域の骨の調査を中心に書いたデビュー作だが、なかなかうまい小説で、ハードカバー上下を飽きることなく読み了えた。犯人は映画の「セブン」を思わせるし、友人の女性もありきたりな書き方だなあと思ったけど、パトリシア・コーンウェルのケイ・スカーペッタシリーズよりわたしは好きになった。
冷静に死体(骨)を点検していくところもすごい。ウジ虫なんかたくさん現れても平気で作業している。ゴキブリ一匹でも大騒ぎする女性たちはどうとるかしら、とへんなところに興味を持った。物語だからそれはそれとして平然と読むのかしらね。
カナダのフランス語圏のこともよくわかっておもしろかった。
いくら連続殺人だと力説しても「女の癖に」という態度で警察官に無視されるのだが、がんばりきるところがよかった。理解しだした警官との協力で、彼に惹かれていくけど、仕事をきちんとするところがかっこよい。最後までテンペをバカにしていた警察官から「つぎもいっしょに仕事しよう」って手紙がきたところは、ほんまによかったねって感じ。
キャスリーン・レイクスがシカゴ生まれのせいか、勝手に親近感を感じてしまった。

1998.11.29

バーバラ・クーニーの絵本「エマおばあちゃん」

久しぶりに行った児童書専門店「木馬館」で、バーバラ・クーニーの新刊絵本を見つけました。バーバラ・クーニーの絵本はいままでほるぷ出版から出てたんだけど、この「エマおばあちゃん」は徳間書店発行です。
猫と暮らしている淋しいエマさんの好きなのは、戸口にふきよせられた雪をみたり、のんびりと遠い故郷の夢をみたりすることです。誕生日に村を描いた絵をもらったのですが、自分の思っている故郷とは違います。ある日決心して絵を描く道具を買ってきて、絵を描きだします。
故郷の絵、愛猫の絵、リンゴの木の絵。やがて評判になってあちこちから絵を見に人が来るようになります。でも人が帰るとひとりぼっち。とはいえ、エマさんには絵を描く楽しみがあり、描いた絵に取り囲まれて淋しくなくなりました。
というお話ですが、バーバラ・クーニーの絵が暖かくてすてきです。

1998.11.27

トネリコの木

この間の日曜日に千里に住んでいる父親を訪問したんだけど、今まで何回となく歩いてきた道でなんと、トネリコの木を見つけたのです。実際に見つけたのは木につけてある名札なんだけどね。千里中央と北千里を結ぶ広い道路の街路樹でした。いままで数えきれないほど通ってきた道なんだけど…。そういえば、名札も新しかったわ。この木をトネリコと知らずに長いこと通っていたかと思うと悔しい。
トネリコの木はワグナーの「指輪」の重要な場面で出てくるし、イギリス児童文学を読めばよく出てくる。長いこと一体どんな木かと思っていたのに、こんなに身近にあったとは…。
残念ながらすでに葉が落ちていました。辞書を調べたら《とねりこ【〈秦皮〉】木犀科の落葉樹》だとのことです。来年の春の楽しみがひとつ増えました。

1998.11.26

ボージョレ・ヌーヴォー

おいしそうな蕪が手に入ったので、大正金時豆といっしょに煮ようと思い立った。丸元淑生さんの料理本を引っ張り出す。タマネギ、ニンニク、ショーガ、ターメリックとカイエンペッパーを使う。
ご飯よりもパンにあうので、フランスパンを大丸まで買いに出かけた。たまにはワインもつけようと思って、心斎橋の大きな酒屋さんに寄ってみたら、なんとこの日はボージョレ・ヌーヴォーの解禁日だった。お店には若者がいっぱいワインを選んでいる。わたしはまだボージョレ・ヌーヴォーというものを飲んだことがなかったので、こんな日に買いに来たのもなにかの縁かと思って買うことにした。ひとわたり見てから、一番安いのを1本持ってレジに並んだのだが、まわりを見ると、若者が手にしているのは高価なものばかり。
初めて飲んだボージョレ・ヌーヴォーは、新鮮なぶどうの味がしておいしかったし、蕪と大正金時豆もいい味に煮えていた。

1998.11.20

流れ星ひとつ

流星群が見えるというニュースのたびに空を仰いで待った夜々を思い出す。
数年前も公園のベンチで上を向いて寝転んでいたのだった。あのときはそんなに夜更けでなかったし、夏だった。1時間くらいで流れ星らしきものを2・3個見たのだった。
また今度も空振りかもしれないと思う一方、もし流星群が降りそそぐのが見えたとしたら、いままでの苦労はどうなるのだろう。ここはやっぱり起きていて見るべきだと選択をして、雲のぐあいを調べるために窓を開けると、ぼんやりと星がひかっていた。このへんで空が見やすいところは、と考えたらやっぱりお月見をした松島橋しか思い浮かばない。12時過ぎに一度出かけてみた。この冬最初のオリオンとシリウスが輝いている。
これだったら、流星も見えるんじゃないか、という楽観的主観でもどり、本を読みながら3時を待った。冬支度の重装備をして出かけた。この寒さだが、同じようなことを考えた人たちもいて、道すがらと、川のほとりで空を仰いでいる計3組のペアとであった。
見えた流れ星は1個でした。

1998.11.19

「シーズ・ソー・ラヴリー」

レンタルビデオ屋さんの新入荷予告に出ていたので、気にしていてさっそく借りてきた。監督ニック・カサヴェテスは前作「ミルドレット」がすごく良かったので、期待がいっぱい。ジョン・カサヴェテスの脚本で、なんと製作がショーン・ペン、ジェラール・ドパルデュー、ジョン・トラボルタの3人。ドパルデューは「ミルドレット」に出演したときの縁だろうな。ショーン・ペンとトラボルタはこの映画に出演している。
ものすげえ恋物語でショーン・ペンとロビン・ライト・ペンは永遠の恋人たち、まるでヒースクリッフとキャサリンのよう。二人の住んでいる下町のホテルやバー、とりまく人たちがきわどく生きているさまがリアルでパンクで…。あやうい二人が愛し合っていて妊娠している、のに男は3日間留守で、女は淋しさに耐えられず、他の男に手を出してしまう。
ショーン・ペンがキレて暴力をふるい、精神病院に収監されてから女はトラボルタに救われて結婚して3人の子どもと郊外の白い家に住んでいる。10年後にもどってきた男は女を取り戻しに行く。
10年間面会も手紙を出さなかったくらいに、他の男と結婚して幸せに暮らしているくらいに、その男を宿命的に愛しているという、そんな愛ってあるんだ…。
トラボルタ扮する今の夫もなんだかけったいやねん。ショーン・ペンの友人役のハリー・ディーン・スタントンの不気味さも良かった。

1998.11.14

眠る前に足湯、眠るときにはソックス

知合いの鍼灸師Tさんが、ちょっときっかけがあって最近何回か我が家に来てくださっている。
わたしは夏の終わり、ホームページをアップしたころから、肩凝りがいちだんとひどくなったので、治療してもらった。週に1回、数回診てもらったらほんとにラクになった。ちょうど季節の変わり目なので、いろいろアドバイスをしてくださったので教えてあげるね。
身体(特に足)が冷えるのがいちばん悪い。それで足湯で温めるのがいいのだそうだ。洗面器では小さいし、バケツでは両足が入らないので、四角い洗い桶を買ってきた。椅子に座ってお湯に足をつっこんでおくだけ。ラベンダーオイルを一滴入れたらいいらしい。そのうち買ってこよう。
ソックスはシルクがいいが木綿でもかまわないそうだ。夜更かししたときはいて寝てみたら、ぽかぽかと身体全体が温かかった。今年の冬はこれで風邪を引かないで過ごせそう。そういえばスペンサーシリーズのスーザンが眠る時はソックスをはいていると、スペンサーが言っていたっけ。

1998.11.13

図書館のビデオ 4 「フリークス」

このビデオも飛び上がるほど喜んで借りてきたんだけど、こんなきつい映画を見たら仕事をする気持ちが薄れる。いまとても忙しくて、頭も身体も仕事人間になっているのに、こんなに刺激の強い映画は見てられない。そんなわけでせっかく借りたビデオを見ないで返してしまった。いつかまた縁があれば、出会うこともあるでしょう。というほどに図書館のビデオ棚では一度借りたビデオにお目にかかれないのです。
さてと、「フリークス」は十数年前に、厚生年金ホールの上映会でみたことがある。あのころは見たい映画があれば大阪中でも京都でも出かけたものだ。レーザーディスクを買ってから出不精になってしまった。ヌレエフのバレエ「海賊」だって映画上映会で見たんだから。

1998.11.12

御堂筋の秋

急に寒くなった。昨日は大阪にも木枯らし1号が吹いたんだって。御堂筋の銀杏はどうなっているかしら。
ずっと御堂筋にごぶさたしているのに気がついて出かけることにした。なんてたいそうなこと言っているなあ。歩いて15分で行けるのに。
御堂筋の銀杏はまだ緑色だった。10月が暖かいというより暑かったくらいやもんね。この寒さで、これからいっきに 色づいていくのでしょう。まっきいろに染まった銀杏の並木はすてきだ。そして、強い風が吹く日、広い道路に黄金色の葉っぱが舞う風景は毎年のことながら、すっごく美しい。
今日はすこしがっかりしたけどまたちょいちょい来ることにして、心斎橋筋へ出て丸善へ行き、来年のカレンダーを買った。とてもきれいな花のカレンダー。

1998.11.11

おばさん

「おばさん」という蔑称のことは、また何回も書くことになるでしょうが、今回は雑誌「クロワッサン」を読んでいて大笑いしたので、その話について。
10/25号の特集《話し下手からの脱出 6人のおしゃべり上手にお願いしました。「おばさん」について、話してください。・・・》というページです。見開きになっているところで、田嶋陽子さんが《わたしはおばさんと言われるとすごく頭にくるよねえ。(中略)おばさんというのは差別用語で・・・》って右側のページで発言しています。
それがね。左側のページでは、蛭子能収さんが《田嶋陽子先生みたいにね、あの人みたいな、もうおばさん代表みたいにね、・・・》って言ってるんで、6人の発言なのに、編集者は故意に2人を並べたんかいなと大笑いしたわけです。
あと3人の意見は話題にもしたくないけれど、もうひとり高橋章子さんの《(子どもが)保育園時代から「わたしはおばさんでない、タカハシだと、章子さんだ」というふうに言いまして・・・(中略)もう、皆さんもおばさんと言わせるのをやめましょう。ぜひ》という発言には、ほんとに意を強くしました。

1998.11.6

しめじこんぶ

わたしは仕事で出かけるときでも、帰りは回り道をして路上の花を鑑賞したり、お店屋さん観察をしてしまう。今日は八百屋さんの店先で「天然しめじ」を売っているのを見つけた。去年もここで買ったことを思い出しつつ、少し高価だが買ってしまった。
さあ、どうして食べよう。じゃがいもとも合うんだけどね。でも今日は和風にしよう。考えた末、「まったけ昆布」ならぬ「しめじ昆布」を作ることにした。上等の出し昆布と乾し椎茸をもどして、その付け汁を基本に使う。土生姜を少々刻む。全部鍋に入れて味醂と醤油にお酢を少々入れるのがコツです。
くつくつと、ときどき味見をしながらかなりの時間煮ると出来上がり。市販の「まつたけ昆布」よりもずーっと美味しい。ほんま。

1998.11.4

メラニー・グリフィスの「追跡者 刑事エデン」

「狼たちの街」で刑事ニック・ノルティの妻をやっていたメラニー・グリフィスがとてもいい感じだった。そういえば、メラニー・グリフィスってあんまり気にしていなかった。「サムシング・ワイルド」の彼女はとても印象に残っているけど。あとは「ワーキングガール」くらいかな。というわけで、彼女の映画を探してみようとレンタルビデオ屋へ行った。そして「追跡者 刑事エデン」を借りてきた。
ニューヨークの腕利きの女性刑事で、一人で突っ走るタイプの警官というお定まりの役柄だが、強さの反面の優しさが捜査をするなかで表われるところがよかった。ニューヨークのユダヤ人居住区画や、そこで生きる人たちを暖かく描いているところもよかった。監督がシドニー・ルメットやもんなあ。
メラニー・グリフィスはヒチコックの「鳥」の主演女優ティッピ・ヘドレンの娘さんなのだ。もうすぐ封切られる「疑惑の幻影」で敏腕弁護士に扮して、猟奇殺人事件の真実にせまるという。たのしみだ。
2、3日後に「刑事エデン」の彼女を思いだしていて、はっとした。「バースデイ・ブルー」のヴィクをやったら似合うのやないやろか。

1998.11.1
タイトルバックは大阪市長居公園

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