VIC FAN CLUB
ESSAY

 

若狭だより 31

トンビ娘

上村 縁

 さて、前回でいちおう「若狭だより」を締めようと思ってたのですが、この前とびきりな出来事を体験してしまいました。
 小浜で今夏限定で開催される「w'sプロジェクト」なるものがありまして、その一環で「バナナボート」を営業するというのです。その試乗会を先日の日曜日するから、来てよと誘われましたので、ちょうど彼もやってくるし、知り合いに紹介もかねて、3人で出掛けました。(はづきはお誕生日会に招待されてていなかった)まあまあ、試乗会はビビリのりんは「振り落とされたら、泳げないからいや」だの、「濡れるのはいや」だの言って、結局乗らなかったのですが、お昼のバーベキューを楽しみに暇をつぶしておりました。が、あいにくの天気だったので、バーベキューは中止され、みんなでホカ弁をつつくことになったのです。
 みんなで生ビール飲みーの、弁当つつきーのしておりました。3人でベンチに座って、お弁当は2つだったので、先にりんに食べさせて、残りをもらう予定でおりました。そしたら、ドンっとりんが押すので「何するん?」と文句を言おうと思った瞬間、バサバサッという羽音とともに、何かが横を通り過ぎたのです。え? とよく見ると、前方にすっとんだ魚フライと飛び去るトンビを認識しました。その間30秒ほどだったのでしょうか? 自分のなかでは、すっごくゆっくり時間が流れたようでありましたが。りんの「あーっ、おかあさぁん」という叫び声で、すべての回路がつながりました。そう、弁当をつついている中で一番どんくさそうなりんが、トンビに魚フライさらわれたのです。そして、状況が把握しきれなかったりんは、このままではおかあさんに叱られるぅと思い、あわてて落ちた魚フライを拾い上げ、弁当にもどしました。そしてこんなん汚くって食べられへんという事にようやく気づき、呆然としておりました。だってそのお弁当のメインのおかずだったんだもぉん。魚フライ。
 が、ひっかけられたのが魚フライだけでよかったです。りんはケガなく無事でした。おまけに以前なら大泣きして、収集つかなかったところでしたが、お姉さんになったんやねぇ。一粒の涙も出さず、というよりほんまにビックリすると、泣かれへんのやろねぇ。私はやや背中よりの右方でしたが、りんは真正面でしたからねえ。トンビの襲撃を受けたのは。そのあと、恐怖で自分で弁当を食べることができず、「あーん。食べさせて」状態になってました。そしてベッタリ彼にくっついてました。
 実はその場所、小浜公園で弁当をさらわれる経験は初めてではないのです。りんにとって。小学校初めての遠足でそこを訪れたりんは、友達と弁当を囲んでるとき野良犬にすべて奪われました。そしてみんなにカンパうけたそうです。そして今回はトンビに弁当さらわれる。彼女にとって「小浜公園で弁当」は鬼門となってしまいました。さて、2度あることは3度ある。「次回はどんな動物に弁当さらわれるんやろね?」と聞いたら「もう、2度とここでお弁当なんか食べへんわ!」だそうです。そして「お前達といると、ほんっとあきないよな。いろんな事しでかしてくれて。おじさん楽しいよ」で締められました。
 おまけの宣伝!! この夏、小浜公園の前にある白鳥海水浴場の翼のテラスにて、「W'sプロジェクト」が若狭の青年達有志によって開催されます。ショップあり、バナナボート乗船(?)あり、コンサートなどの催し物ありの楽しい企画がもりだくさん!! 皆様、今年の夏はぜひ! 若狭小浜の白鳥海水浴場までお出かけ下さい! ちなみにバナナボートの営業は土日のみです。小さなお子さんも安心して乗れますよ。幼稚園の子乗ってたから。この前。あれで海に落ちるのは、トンビに魚フライさらわれる、うちのりんねえくらいのもんです!
 うん、このくらいしておけば、おごってもらった弁当分くらいにはなるだろう。

2002年7月

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