VIC FAN CLUB
ESSAY

 

若狭だより 20

うちの鈴虫

上村 縁


 なんか急に冷え込んできましたね。あまりにも急なので、衣替えが間に合いませんでした。
 ところで、うちでは今年鈴虫を飼っています。娘の「科学」のふろくに卵がついていたので、夏休みの自由研究もかねて孵化させました。注意書きに「オスメス同量には入っていません」と書かれていましたが、みごとに!!うちのはメスのみでした。
 はじめは、性別がなんだか分からなかったのですが、夏休みも終了間際、自由研究をまとめさせるために、図書館で「鈴虫の飼い方」なる本を借りてきて、やっとわかりました。ぜーんぶメスだってことに。普通いくらなんでも、1匹くらいはオスがまぎれこんでいますよねぇ。途中で死んだり、食われたりした形跡はないので(孵化してから、同じ数)やっぱり始めから、メスばっかりだったのです。
 仕方がないので、下の子の通っている保育園で、オスを分けてもらうことにしました。先住者の6匹のメスに2匹のオスが仲間入りしました。もらってきたその晩からいい声を響かせてくれて、「これ、これ、これやんなぁ。鈴虫は」と思っていたのもつかの間、2週間ほどして、プッツリと鳴き声がしなくなったのです。いちおう世話は上の子にまかせていたので、「逃げたんちゃうか?」と思い、聞いてみると「うちが、フタ開けているときは逃げてなかった」そういえば、飼育箱をお掃除中、逃げ出して、悲鳴あげてたもんなぁ(上の子は虫が怖い)。原因究明のため、一緒に飼育箱のお掃除&エサやりをすることにしました。みているとやっぱりいいかげんだったので、ついつい手を出すと、羽根が落ちていました。アレと思って、じっくりみると、足もころがってました。
 そうです。オスは卵を産むために、メスの栄養となっていたのでした。よくよく見てみると、飼育箱のへりには、卵がびっしり産まれていました。ビバ! 自然の摂理。確かに、飼育本にも、卵を産むときに動物性のエサをたっぷりやっていないと、共食いすると書いてありましたが。まさか、こんなにみごとに役目を果たしたオスを食ってくれるとは。
 そしてそれから3週間、ますます世話をさぼってエサも3日に1度やればいいほう、という絶悪な環境にもめげず、3匹のメス(3匹は栄養となったらしい)は生存記録を延ばしています。

2000年9月

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