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VIC FAN CLUB: ESSAY
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ともこの読書日記6

こどものなまえ

嶽山 智子
Tomoko Dakeyama

 久々に出会ったジョナサン・ケラーマン。『わるい愛』というタイトルは気に入らなかったのだけれど、まあ許そう、何と言っても私はこの主人公アレックス・デラウェアのひそかなファンなのだ…ったのだけど、今回最後までよんでません、すんません。何か彼の安定した生活ぶりが鼻について、優しくて思いやりのある恋人とうまくいってるのがつまんなくて…。何を屈折しているんだろう、私ってば。
ということで、久々に出会ったもう一人のことについて書くことにしましょう。

 ヴィク、久しぶりのこの響き。でも『売名作戦』は短くて、とても堪能したとは言えない再会だった。聖職者が実はとんでもない悪いヤツだったというのもよくある話。最近では、どこだったかヨーロッパの元神父が妻や子供を殺して冷蔵庫に…という現実の物とは思えないお話もあったりして。
 あー、書けない。と悩んでいる私に子供達が聞きに来る。「ぼくの名前は生まれる前から決まってたんやなー」と兄の遊。そうそう、あなたは早くに性別が分かり、おなかにいるときから名前が決まって呼びかけていたっけ。「なーなー、りんちゃんはー?」おー、君はてっきり男だと思いこんでいて、なかなか決まらなかったっけ。いくつもの候補から絞り込めない日が続き、ある明け方に見た夢。夢って都合のいい物で、私はその女の子に漢字で呼びかけていたのでした。「凜ちゃん!」と。
 「生まれた女の子はりんちゃんだよって、神さんが教えてくれたんよ」というと、「なーんや、そうやったんか!」と安心して向こうへ走っていきました。

 そういえば、名前って自分で選べないだけにヴィクも屈折していましたよね。3人姉妹の末っ子の私は、父がなかなか名前をつけないので祖父がつけたというのを知った時は、ずいぶん傷ついたっけなあ。高1のとき憧れの3年生の君に「ああ、智恵子抄の智かあ」といわれ救われた気がしたものです。学生時代の友人で朋子という子がいて、彼女は“眉間には嵐があった”とある小説で表現されていた女性がその名の由来だとおしえてくれて、(彼女自身はとても嵐とは縁のないほんわかした顔立ちだったが…)うらやましかったことを覚えている。
 所詮親の押しつけではあるけれど、我が子には意味のある名前をつけたいなあとD氏と2人で考えた名前、遊と凜。遊はゆとりのある子にという意味で(ハンドルの遊びとかいうときの)、凜はきりっとした女性に、と親の願いがこもっているのですが、さてどうなることやら。例の失楽園の主人公が凜子だと知った時はショックでしたよ。でも凜一字にしといて良かったわー、ねえ吉岡さん。

1997年12月

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