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VIC FAN CLUB: ESSAY
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ともこの読書日記 1


夜のお楽しみ

嶽山 智子
Tomoko Dakeyama

海外(アメリカ)のドラマにはまっています。新聞で二カ国語放送の一時間物を見付けるとチェーック!! ハズレもありますが、局が厳選した海外での人気ドラマということで、掘り出し物が多いのです。おすすめはL.A.ロー(邦題:7人の弁護士)、関西では毎日系TVの水曜深夜にオンエアされています。(1クルーごとに一年遅れで放送されているみたいです。)この番組はメイキングビデオも制作されていて、ただものではありません。ロスのある弁護士事務所が舞台になっていて、弁護士と依頼人をめぐるさまざまなドラマが繰り広げられるわけです(ありきたりな言い方だなー)。日本のこういったドラマだと、何故か弁護士が謎解き・勧善懲悪、と水戸黄門的になる場合が多いと思うのですが、このドラマはなかなか懐が深く、思いがけない結果になることもよくあります。
 アメリカはご存じのように訴訟の国で、あらゆる事が裁判に持ち込まれます。それこそ殺人事件から家庭問題まで。このドラマは弁護士達が主人公なので、法廷と事務所が主な舞台ですが、それぞれの弁護士の私生活も欠かせないポイントです。恐妻家でケチなマネージャーは最初の頃は取っつきにくいだけの印象だったのですが、離婚・ノイローゼ・セラピストとの恋愛・妻との復縁…と回を重ねるごとに何だか憎めないおじさんに見えてくるし、子供になかなか恵まれず里子をもらった弁護士の夫婦は、親権争いで裁判になり赤ん坊を取り上げられたり、ロス暴動に巻き込まれたりもしました。女性にはめっぽう弱く美人の依頼人とは必ずお付き合いしちゃう離婚専門の辣腕弁護士もいます。すこぶる付きのブロンド美人は敬虔すぎるプロテスタントで依頼人に神の教えを説いてしまうし、それに対して最近入ってきた秘書は少し悪っぽいけどなかなかの切れ者、薄いブルーの瞳で、私は彼女を見るたびにハスキー犬を思い浮かべてしまうのだけれど、どうも男性にとってはとてもセクシーらしく、みんな振り返っちゃうのですよ。納得いかんわー。そうそう、たまに私立探偵を雇うことがあってそれがなんと女性なのです。うちでは「ヴィクが出てきたー」と喜んでいるのですが、いつもたいていGパンでキンジーに近いのかな? 最近の放送では、喫煙のためにビルの外まで出ていって…なんて場面もあって、そういう世相を見るのも面白い。他にもエピソードは山のようにあってもう古いお付き合いの友達のようなのです。(もはや7年余り見続けているわけですから…)
 陪審員にどう印象づけるかがアメリカの弁護士の腕の見せ所で、だからこそ先頃のO.J裁判では黄金の弁護士チームなんていうものが出現したわけですが、むこうの弁護士ってかっこいいですよねー、女性だってスーツをピッと着こなしてアタッシュケースを携えて…。ドラマの話だけじゃなく、ヒラリー・クリントンさんだってトップクラスの弁護士だったという話だし。日本も陪審員制になったら少しはあか抜けるのだろうか? わが家では、夫婦の会話にも「異議あり!」だの「憶測に基づいた発言です!」なんていう法廷用語(?)が飛び出し、D氏からは「弁護士になれるわ」とあきれられています。 もう一つのおすすめは、NHK教育で日曜深夜オンエアの「ビバリーヒルズ高校白書」。こちらは打って変わってハッピーな学園&家庭もので、ミネソタの田舎から花のビバリーヒルズに引っ越してきた双子の兄妹が主人公です。仕事バリバリ、でも家族をとても大切にする父親と、庭いじりと料理が好きな母親、という理想的な両親。そしてこれが大切なのですが、家族は愛し合い信頼し合っています。(こう書いてしまうと全く面白くなさそうですねー。)この古き佳きアメリカ的な家族が、ビバリーヒルズという虚飾の町に越してきて、どう変わっていくか、周りをどう変えていくか。といったストーリー展開です。(現代版『大草原の小さな家』、アメリカの理想の家庭ってかんじ。)
 でも何が良いって、ブランドンとブレンダという2人の主人公が可愛くって…。それにブレンダの恋人のディランはジーェームス・デーィーンそっくり!!(絶対意識してるゾ)アメリカのハイスクールの雰囲気もたっぷり楽しめて、一見の価値ありです。
 ところで、深夜録画の天敵といえば、野球の延長や緊急事件の発生による中止・時間のずれ等々。L.A.ローは一話完結ではなく、問題を引きずりながら次回へと続きますから、一回でも見逃すともう大変。録画を失敗して、あやうく夫婦喧嘩になりそうになったことも一度や二度ではありません。それからシリーズものにおいての天敵といえば、後のものを先に見ること。ビバリーヒルズ…のほうでは、NHK衛生第2に「ビバリーヒルズ青春白書」というのがあるのを見つけてしまい、実家で録画し、見るという掟破りをやってしまいました。それはそれで面白かったのですが、彼と彼女がくっついてたり、いなくなってたり、知らない人と結婚してたり…とけっこうめまぐるしくて、その後高校白書を見ても、「こんな事言いながら違う人と結婚しとるねん、コイツ」なんてつぶやきながら見るというざまです。皆さんお気をつけあそばせ。
などと書いているうちに、L.A.ローは今回のクルーを終了してしまいました。でもきっと近いうちに始まりますよ。テレビ欄にご注意!!

1995年12月

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