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カリフォルニアだより

第11話 〜髪を切りたいが〜

杉山洋子

 さて、暑くなってきました。汗っかきの私がつらいのは、まとわりつく髪。というわけで、つねに私はショートカット。よって・・・1〜2ヶ月に1回は髪を切る運命になります。と、なんだかおどろおどろしい書き出しですが、アメリカに来て私が最初に直面した英語の大きい大きい壁が美容院だったのです。田舎のここでは当然日本語が通じる美容院なんてなく、サンフランシスコまで行って高い金出して髪をきるのもしゃくだし、なんとかアメリカン・ヘアサロンで髪を切ってやる!! といきごんだ所まではよかったのですが。
ちなみに、私の日本での注文の仕方。
「うーんと、とにかく短くしてー、段もつけて、シャギーをシャシャシャーといれて、髪の毛の量が少なくなる感じでお願いします」・・・英訳できません。まったく。
かくて始まる格闘。
「えっとね、シャギーをいれて」「・・・??」
「・・うーん、レイヤーを入れて」「・・・???」
「レイヤーよ、レイヤー。こことここと(と髪をつまんで)長さ違う奴」
「ああ、ゥレイィヤー ね。で、大きく? 小さく?」
「(レイヤーの大小? たくさんかってこと?)大きくお願いします。。」
 ※アメリカでもちゃーんとした(値段もちゃんとした)サロンでは、シャギーといっても通じるそう。ただ、すごいところでは「お母さんの方がうまい」ということもあるそうです。
そして出来上がってく髪型・・・・うーん、なんか違う、でもそのびみょーな所は英語で言えない・・・で、当初の予定とはちょっと違った状態で出るわけになるのでした。
 さらに問題点。日本でもいますよね、お話好きな美容師さん。私はあまりたくさん喋る方でないので世間話は少々苦手。で、美容師さんの話は聞き流すことが多かったのですが・・・英語です、もちろん。“聞き流す”ことができないのです、技術的に。全身全霊で(大袈裟でなく)きいて、相づちでいいのか、答えが必要なのか、判断しなくてはいけません。で、美容院は「もっとも過酷な英会話の修練の場」と化すのでした。
 そして、最後にやってくる難関。そう、チップです。
 チップ社会のアメリカ、給料にチップの見積もりが込みになっているとくれば、なんとか適切な形で払わなくてはいけないと思いつつ、良く分からない外人の悲しさ。しかも中には「チップはいらない」形式の美容院もあるそうで、雑誌(もちろんアメリカ人向け)でも「美容師へのチップはどうあるべき?」なんてコラムがのったりします。ので、私はさっさとスマートな生き方はあきらめて、カウンターで聞きました。私の行ったところは「チップあり」だったので、その日はカウンターにことづけて。次回からは美容師さんの机(髪を切る場所が、美容師ごとの専用ブースとなっている)にそっとおいて。うー、疲れる。
 日本に帰ったら、美容院がまた“憩いの場”になるのは、本当にありがたいことです。

2002年6月

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