vic fan club

chicago

sugiyama_top

カリフォルニアだより

第5話 〜英語の勉強その1、アダルトスクール編〜

杉山洋子

 ダンナにくっついてアメリカにやってきたはいいけど、一般日本人の私は、カタカナ英語をたどたど話すことしかできませんでした。(ちなみに現在でもそうです)
 で、アメリカにきたらまず英語学校へ行かなくてはと思っていたところ、知り合いの方にただで英語を習える場所がある、というありがたい情報をいただきまして。ただ…これは行くしかない!!と、2000/9月から12月まで通っていたのがアダルトスクール。クラスもレベル分けがされていて月から金まで午前中3時間、立派な学校です。(もっとも、あとでクラスメートに聞いた話では、授業料を取る州もあるそうな。CAに住んでてよかった)
 受付はごく簡単。登録用紙に記入を済ませ、レベル分けのテストをするだけ。テストといっても中学レベルの文法問題。そこは日本人、結構高い点をとってしまいました。「レベル6(この学校では最高レベル)に行きなさい」というカウンセラーに「会話能力がないからそんな高いレベルにいくのはやだ」と懇願すること数分間(数十分にも思えたけどそんなにしゃべれたはずがない)、なんとか1つ下のレベル5にしてもらいました。
 にもかかわらず。授業初日、30人ほどのクラスの中で、一番話せないのが明らかになってしまった…。クラスメートの大多数(というよりほぼ全員)が、とにかく生活するためにしゃべるようになったものの文法が判らないから学校に来た、という人達だったんです。(つまり私とは全く立場が逆なのであった)だからみんなは、冠詞も前置詞も時制もほっといてしゃべるしゃべる。こっちのしゃべる速度が遅いと「あああんたはこういいたいのね、でもさ」と文の途中でぶったぎられて返される。結果、だれかが10しゃべるのに1答えるのがやっと、という状態です。ストレスで気が狂うかと思いました。狂わなかったけど。(ちなみに同じアダルトスクール内に他の日本人の方も何人かいたのだけど、皆さんレベル6でしばらく会うことがなかった。いや、会ってはいたんだけど日本人か中国人か韓国人か判別が付かず、声をかけるのをためらってしまっていた。)

 でも、慣れてくると楽しい! 本当に世界中の人と友達になれます。韓国、中国、インドネシア、ベトナムにレバノンにイラン、ロシア、ウクライナ、カザフスタン、ウズベキスタン、フランス、メキシコ、ブラジル、グァテマラ…。「夫はどのくらい家事を手伝うか」とか「テレビ番組はどんなものが人気か」とか、「結婚式でお色直しをしたか」みたいな馬鹿話でも、お国が違うとみんなで話していて面白いし。政治、宗教の話はタブーと聞いていたんですけど、仲良くなると向こうからしゃべってくれたりもします。ただ、それに対して自分が話せる「日本について」の無知さと語彙力のなさを痛感したりもするんだけど。
 先生の紹介もしなくては。私のいたレベル5の担任Susanは、明るく楽しく、ESL(English as Second Language)の先生らしくゆっくり、Clearな発音でしゃべるようにしていてくれる、とってもGoodな先生です。生徒に親身に接してくれるし。就職の際に生徒の身元保証人にもなってくれたり、お役所関連の問い合わせをしたいけど電話応対に自信がない生徒に代わって電話をかけてくれたり。何より助かるのが、「アメリカ生活の達人」であるということ。これまでのカリフォルニア便りで紹介したアメリカの風習の情報源は全てSusanだといっても過言ではない。本当に感謝の一言です。まだこれからもお世話になる予定だけど。
 最後に、ESLの意外な効能を紹介。ご存じの通りアメリカは移民の国、そして多くの人が自分の母国語のなまりを残した英語で話しています。ESLでもまれていると、お互いにそういった「くせ」のある英語にも慣れるんです。実際、(1回だけだけど)ダンナ様と中華料理屋へ外食に行ったとき、ウェイトレスさん(中国系の方)の言葉を私の方が先にとらえたときがありました。あと、ある生徒の話(英語)を先生が判っていないとき、他の生徒が通訳してあげたり(2人の母国語はぜんぜん違うのに)。コミュニケーションって奥が深いです。

2001年3月

VIC FAN CLUB  連絡先:kumi@sgy2.com