VIC FAN CLUB
ESSAY

読書の楽しみ 5

『鬼平犯科帳』(その1) 池波正太郎

喜多篤子


とうとう読み始めてしまいました。これまで、「犯科帳」?「捕物帳」?と食わず嫌いで、読んで見ようとは思わなかったジャンルに挑戦することになったのは、一にも二にもなくVFCのおかげです。とりあえず、1、2巻を買って読み始めたら、体調を崩したおかげもあって、あっという間に2巻を読んでしまって、息子に3、4、5巻を買ってきてもらい、今、5巻目に入ろうというところです。
なにがおもしろいのかって、とにかく一話一話のことが起こって解決するというストーリーがまずおもしろい!そして、そこに登場してくる人物の波乱万丈の人生が、こう言っちゃ悪いかもしれなけれどおもしろい!
思わずスパイ大作戦を思い起こしてしまうような大仕込の大泥棒に、それに輪をかけたような同心、密偵達の張り込み、ちゃんちゃんばらばらの大捕物、そして胸のすくような平蔵様のお裁き・・・と、悪を懲らしめる善という確かに時代活劇の世界です。
でも、それだけじゃないのです。その活劇の中にちりばめられた、それぞれの人間模様が素晴らしいのです。「悪人だってなりたくてなったわけじゃない、善人だって迷うこともある、どんな人物でも、それは確かに一つの大切ないのち、人生さ」というメッセージがその生き生きと書かれた人間模様から伝わってくるようです。
そして、平蔵さんがとにかく素敵!「強くなければ生きていけない、やさしくなれなかったら生きていく資格がない」というあのフィリップ・マーロウの言葉を地で行っているようです。そしてしかもユーモラスなところもありです。
文庫のいくつかには解説がついているのですが、その一つの某コピーライターが、「鬼平犯科帳」の本当の良さは女にはわかるまいといったようなことを書いていたのが興醒め・・・
「平蔵さんは男も女もないじゃない、いったい何読んでるの!」と言いたいところです!
さあっ、どんどん読まなくちゃ!

2003年11月

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