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Chissarossa の I LOVE CINEMA 23

ターミナル

 ああ、きっと目頭熱くなるよね〜ああ、やっぱり〜・・・判っちゃいるけど・・・スピルバーグらしい、穏やかな、ふんわりと、ホロリと来るドラマの王道です。デートとして見に行く映画としては、間違いなく手堅い作品ですよね!それで、勿論、涙ホロリドラマの主人公は、いかにも、いかにもの、トム・ハンクスです。ところが・・・今回の変り種は、キャサリン・ゼタ=ジョーンズでしょう。「トラフィック」「マスク・オブ・ゾロ」「エントラップメント」「シカゴ」等など、これまでの彼女の役柄を見て、トム・ハンクスとの共演はちょっとイメージつかないでしょ?どっちかというとアクが強いというか・・・悪女タイプの役柄多くて、そうでなくても個性的です・・・。そんな彼女が、こういう穏やかな映画で、どんな演技をするのかってのに興味がわきませんか?そう。泣かせるためとはいえ、設定には多少無理はあるし、空港のターミナルの中だけで何ヶ月もの時間を作り出すので、視界に限りがあるし・・・退屈になりそうな要素もあるんですが、反面、アメリカに入国するってことのいろんな方法が解るようになったり、さまざまな人種の坩堝ということがよく象徴されていて、英語の発音各国版を比較して聞けたりと、ドラマ以外の、変なオマケのお楽しみがあったりします。

【ストーリー】
 東ヨーロッパのクラコウジアから、ビクター・ナボルフスキーがアメリカの空港に降立った時、クラコウジアはクーデターによって消滅してしまった・・・。
 国の消滅とは即ち、パスポートが無くなるということ・・・!?じゃあ、どうすれば?!
 お役人は、「この空港の外には出るな」という、空港から一歩出れば、不法滞在者になってしまうのだ。クラコウジアのお金は使えない・・・この空港という限られた場所に、いつまで滞在する?どうして暮らす?そう、空港は何でも揃っている・・・暮らすことはできる!どうにかして、この空港内で仕事を得ればよいのだ・・・。そうして、ナボルフスキーは言葉の壁を越え、仕事のやり方を覚え、就職活動?をして、ビザが出る日を待ち続けた。やがて、彼の存在は、空港内で働く人々に受け入れられ、周囲に影響を与え始める。なんで、この空港から出て行かないんだ? このアメリカには、不法滞在で暮らすやつなんて五万といるだろうさ。なぜ、ひたすら待ちつつけるんだ?ひたすらに待ち続ける彼の望みは、父の思い出の詰まったピーナッツ缶の中にあった・・・

 キャサリン・ゼタ=ジョーンズが演ずるフライト・アテンダントは7年越しの妻子ある恋人がいるんです・・・彼女の待つ7年と、ナボルフスキーの待つことの思いが重なる時には思わずドキドキ。国境警備局の職員(スタンリー・トゥッチ、バリー・シャバカ・ヘンリー)たちは、ナボルフスキーが不法滞在者として出て行くことを待っているのにはちょっとカリカリ。掃除夫のグプタ(クマール・パラーナ)は、故郷インドに帰るきっかけを待っているのには、がんばれ!って応援したくなるし・・・。人は常に、誰もが何かを待っているのだと、空港での短い出会いと別れの中に、様々な人々の、様々な“待つこと”を、温かく見守って描かれているドラマです。
 ちょっと涙ホロリ、ちょっと心ぽっ、そして、何気ない生活に小さな希望を持ちに、「ターミナル」見に行きましょか。

2005年1月

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