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Chissarossa の I LOVE CINEMA 14

ゴールデン・コンビ、ジャック&ダイアンの「恋愛適齢期」

 まあ、なんてキュートなお二人さんでしょう!ジャック・ニコルソンとダイアン・キートン・・・映画での役割とか、ストーリーや、テーマを別にしても、60歳代には、ああいう風にいたいものだと、つくづく思わせてくれます。

 今年度は、前回にお届けした通り「ロード・オブ・ザ・リング」があまりにも出来が良すぎて(原作からしてね)、アカデミーもゴールデン・グローブも圧勝しました。彼の映画は、規模壮大でしたので、他の全ての追従許さず・・・でしたが、「ロード・オブ・ザ・リング」と同じ年の公開でなければ、間違いなく、この「恋愛適齢期」は、賞の行方を決定する上で、カナリの注目を集めていたと思います。ま、演技の面でアカデミーでも、ゴールデン・グローブでも、主演のダイアン・キートンはしっかりノミネートされてましたけど。ジャック・ニコルソンやダイアン・キートンはもう画面に映るだけで存在感ありで、メチャウマな俳優さん達なので、極端な話、出る映画は全てノミネートされて当たり前感があるわけです。言い方を変えると、彼らが出ると、つまらない映画も素晴らしく見えてくるって事にも・・・(あながち暴言ではないと思う)。

 さて、このナンシー・メイヤーズの作った「恋愛適齢期」は?
 はい。大丈夫!例え、主演にダイアンとジャックをすえなくても、この映画は、現在のところ。”先進国”といわれる、世界のたかだか2割程かもしれませんが、長寿社会にとって”生きると言うこと”とはどういうことなのかを、神々しくまでに照らし出しているスグレモノ映画でございます。確かに、50代60代が立派に恋愛出来るか、否か・・なんて、食べるとここそ一大事な所や時代では、ナンセンスもいいところ。それから更に、例えば、我が国において等は、結婚が生活の方法であったごく最近まで・・・いやいや、現在でもまだまだ、充分その意味の方が強いだろうし、つまり、それは、結婚が恋愛の成就の結果としてとらえている人々の方が、まだまだ少ないってことで、「結婚と恋愛は別のもの」という台詞が、当たり前の様に語らるということになってますが・・・。
 だけど、それだけで良いの?食べる事だけ出来れば、人は生きるに十分なわけ?

 ちが〜〜〜う!人は、心を持って生きるものなのよね〜心にはやっぱり栄養がなきゃ枯れちゃうわよね〜その際たるモノが「愛」!そうして、その上に「芸術」が積まれて行くんだわ〜10年くらい前に流行ったKANの「愛は勝つ」ってJ-POPがあったじゃありませんか〜〜〜あまりに直接すぎてちょっと・・って思うにしても、その歌詞の内容は本当にそのまんま。愛は全てに勝つのです!いい加減、テレを隠すためにシノゴノ難くせつけるのやめて、愛こそモノの始まり!と素直に認めましょ。
 更に更に。そこから踏み分け入ってようやく、この「恋愛適齢期」のテーマを語るに値するわけです。

「愛は勝つ」を取り込んだところでさえ、”恋愛って若者の特権”というのが、世間様の常識となってますが、”果たしてそうなの?”ってことが「恋愛適齢期」の具体的問題テーマになってます。それから、もうひとつ、実に大きなテーマ。恋愛する、しない、どちらでも宜しいが、”歳を取る事って悪い事?”これです。この映画、掘り下げれば掘り下げる程、テーマはいくらでも大きく深くなって行くんです。軽々しくコメディーサイトでとらえるのも、とてもセンス良いので楽しいのですが、ちょっと突っ込んで考えてみても、たかが人生、されど人生・・「傷つくのが判っていても自分で開かなきゃ、それでこそ満足の行く時が得られるの、幸せを実感する事ができるの。傷つかない様にしてる限り、幸せの充実感なんて得られないわ・・・」というエリカの台詞、う〜ん、実に奥深いことです。

 ナンシー・メイヤーズ・・・主人公のエリカが彼女の事なんでしょうが、凄い人です。現在、ウディ・アレンに肩を並べられるのは、きっと彼女だけでしょう。台詞の一つ一つがキュンキュンキュート!

 主人公のエリカ(ダイアン・キートン)はバリバリの劇作家、名声たるや堂々としたもの。彼女は20年間は演出家と結婚していて一人娘マリン(アマンダ・ピート)あり。今はその娘も独立して演出家とは離婚、しかし、劇作家と演出家として深い絆で結ばれた友人関係を維持している。キャリアウーマン目指す全ての女性の憧れの的のような彼女、50も過ぎては、恋愛とはもう縁が無いと思っていた・・・のに、ある日娘が連れて来たボーイフレンド、ハリ−(ジャック・ニコルソン)は、何と63歳!しかもこの男、レコード会社を幾つも経営しているお金持ちで、未だ結婚経験無しの傍若無人、超プレイボーイ。この二人が週末にエリカの別荘に遊びに来た事から物語の始まり始まり〜〜〜遊びに来たはいいが、このハリー、心臓発作を起こし、安静を保つとして別荘に留まることに・・・世話はエリカ・・お互い顔を合わせた瞬間からとても気に入らない存在。しかし、次第に同世代ならではの生活のリズムやら生き方やらで、互いを理解し始める。にくったらしいのに何か気になる!この感じがとても微妙に画面から現れて来る・・・ジャックとダイアンの絶妙な演技故なんですが、台詞の言い回しと言い、身ぶりと言い、たまらなく良いのよ〜!!ジャック・ニコルソンたら、渋いわ、お茶目だわ、ハンサムだわ・・・なんとも彼の台詞まわしって魅力的、拙者は英語ペラペラでもナンでもないけれど、ジャックがいう台詞はなんともかっこいいのが判るもの。それに何とも力強く、説得力がある。はあ〜〜キングでございます〜〜〜。ハリーを助けた医者はジュリアン(キアヌ・リーブス)・・・これが35才独身でエリカの大ファン。またこれが超キュート!!このジュリアンがエリカに愛を告白、年令の差をものともせずプッシュ、プッシュ。20才も歳の差があって恋愛が成立するのかとさえ思うのだが、ダイアンの様子は年令を隠すためにタートルネックしか着てなかったのに、段々びったり身体の線を強調するようなドレスに変身して行くのです。これが又、お見事〜〜〜案外大丈夫かも・・と思わせてくれるの。・・・で、結局大物は成功するんだけれど・・(わざと詳しく書かない)・・真剣に愛を語るエリカの潔さと傷ついても前に進む勇気がまさしく笑いとペーソス、初めての本物の恋愛にドタバタ足掻きまくるハリ−の超絶技工ともいうべき愛らしき演技、冷静に知的に、それでいて純真にグイグイ進んで来るジュリアンの姿には、世の女性の明日への希望が・・・ジャック・ニコルソン相手に恋敵はこのキアヌの愛くるしさがないと無理でしょう〜〜〜とばっちりの人選だったお思いマス。物語の内容もさる事ながら、それぞれの俳優陣の演技内容と、シナリオの良さは濃厚で、もはやわたくしなんぞ語るべき言葉なし。書いても書いても書き足りないのです。

 後は見てくだされ〜〜〜見てご自分で確かめて下さいまし〜ああ、本当に純度の高いチョコレートを食べた様〜〜〜惜しむなら、やっぱり同年代に決着付けたか〜〜〜という処否めず、せっかくの映画ですもの、マルグリット・デュラスの様に、随分離れた年下の男性との愛は成就してみせて欲しくもありましたわ〜〜〜
 ん?ここまで来ると、殆ど限り無い欲望かしらん〜〜〜?あ〜〜、エリカになりたいですゥ〜〜〜

2004年4月

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