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Chissarossa の I LOVE CINEMA 1

007は愛しのピアース

 わたくしは、大のショーン・コネリ−・ファンである。多くのショーン・コネリ−・ファンの御多分に洩れず、スパイ映画「007」のおかげである。子どもの頃、当時はTVのゴールデンタイムには洋画というのが流行っていて、「映画は映画館より、映画はテレビで」というくらい各局が競って放映していたものだ。通常、洋画好きは「見るなら、絶対字幕に限る」等と、またこれ偏屈な事を言うものなのだが、これには理由があって、役者の声が役柄としても重要だと感じるからなのである。しかし、このショーン・コネリ−の吹替えの声は、数少なく例外的にカッコよかった。若山弦蔵のクールで、渋い、それでいてチャーミングな声。映画館で聞く、ホンモノのショーン・コネリ−の声と、殆ど違和感なく納っていて大変宜し、である。
 このスパイ映画の中のスパイ映画「007(ダブル・オー・セブン)」も、今春の公開作品で20作目と相成った。ショーン・コネリ−を1代目に、現在は5代目のピア−ス・ブロスナン。これがまたショーン・コネリ−以来の大当たり!これ以上のジェームズ・ボンドはいやしないというくらいのドンピシャリ。全く、イタリア製のクラシカルにして、トラディショナルスーツ(ブリオーニ)の着こなしといい、タキシードの着こなしといい、壮絶なるアクションといい、とにかく身のこなしが品よく、グレード高くてグッド、惚れ惚れの眼がハートなのである。
 さて、今回で4作品目となったピアース=ジェームズ・ボンドの『ダイ・アナザ−・デイ』、さすがにコンテポラリー命の「007」、舞台は遂に朝鮮民主主義共和国にて。いきなり正体不明の裏切り者のために、非武装地帯での極秘任務が失敗、ボンドが14ヶ月に渡る監禁に拷問なんて「007」シリーズ始まって以来の大ピンチ、挙げ句に、愛する国家にも見捨てられる有り様。しかし、ボンドは決してメゲない、諦めない。これぞ「007」!誰の、何の援助が無くたって、スーパー・スパイの名誉にかけて、アジアからキューバ、ロンドンにアイスランドと、どんどん舞台を移しながら、世界を崩壊へと導く戦争を阻止するために敢然と敵に立ち向かう。
 ハイスピードにいきなり展開するホーバー・クラフトのチェイスに始まり、氷河の雪崩大波でサーフィン(しかも、ボンネットを剥がした鉄片で)、氷原でのカーチェイス・・・氷の水の中に閉じ込められるわ、氷壁にぶら下がるわと、息もつかせぬクールにして超エキサイティングでハードなアクションが次から次へ・・・・だけれど、どんなにヒヤヒヤしようが、ハラハラしようが、”最後は必ず大丈夫”という絶対の信頼こそが「007」のブランドを作りあげている、これがアクション映画の王道である、ブラボー!!だ。
 もうひとつの話題がボンド・ガール(ホントはボンド・アクトレスって言わなきゃ)。「チョコレート」で、アカデミー賞主演女優賞を獲得した、しかも、黒人女優としては初めてのハル・ベリーと、これが初めての映画? というくらい堂々の新星登場、ロザムンド・パイク。敵役には、「ハリ−・ポッター」のマクゴナル先生役でお馴染みの、デイム・マギー・スミスの息子・・・本人にとっては、これほど嫌な紹介の仕方もないであろうが、敢て・・・・トビー・スティーブンス(TV版の「華麗なるギャッツビー」のギャッツビー役がとても良かった)に、アメリカはN.Yで大ブレイクのアジアンモデルにして、俳優となったリック・ユーン(「ヒマラヤ杉に降る雪」で工藤夕貴と共演)で、実に適格なキャスティングがされていたと思う。
 このトビ−・スティーブンス演じるグスタフ・グレーブスとボンドがフェンシングの試合をするのだが、これがド迫力で、また壮絶!真剣勝負と来るから、全く惚れ惚れの連続である。ピアースも齢50才にして、大して衰えも見せずあっぱれなのだが、スティーブンスが鋭い演技でこの作品では配点高し。
 それから、ビックリマーク!!!なんとまあ、マドンナがカメオ出演〜〜〜! 主題歌を歌ってはいたのだが・・・まさか、こんなところで登場して来るとは!!(カメオ出演だから、礼儀としても、何処でどの役で出て来るかは内緒)この人は、下品かもしれないが、本当に自分をプロデュースするのが上手い、主題歌も時代を読み切っての先取りでオシャレ・・別の顔したV.Iかもしれない・・・と思ってしまう。
 今や、「007」ファンの話題はピアース・ブロスナンが、後どれぐらい作品がこなせるか?である。次回作への出演は既に契約されていてひとまず安心。さすがに、ピアース=ボンドの1作目と較べるのは酷な事だが、いつまでもカッコよく、ロジャー・ムーア=ボンドの7作品を越して、銃口からビシッと登場して欲しいものである。

2003年4月

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