授業で新生児期のしいちゃんのビデオを観察して、学生に発表してもらいます。仰向けに寝ているしいちゃんは、太鼓の音がしてもそっちの方を向きません。手足をもぞもぞ動かし、まぶたがぴくりと動くこともあります。目の前で緑色のボールを動かしても、首はジッと同じ方向を向いたままで、もちろん眼も動かしません。 学生の観察は「音に対する反応なし」「追視なし」となりがちです。しかし、次の場面で、お母さんがしいちゃんを抱いて揺すりながら話しかけると、まだ焦点が定まらない眼でお母さんの顔の方を向いて、耳をすませ、クークー声さえ出します。お母さんという装置にかかると、しいちゃんの感覚もコミュニケーションしたい気持ちも、大きく膨らむかのようです。 言語障害のこどもと付合っていく時、かそけきものへ向ける気持ちと、それを感じとる観察力が必要です。私の力不足で、まだまだ授業で伝え切れているとは言えません。