こども診療所だより 復刊第13号2003年8月10日発行


写真 西山 悦子

あたらしい歯

与田準一

ぽろりと歯がとれた。
あとにはもうべつの歯が
はえかかっていた。
ぼくはねえさんの鏡をもちだしてきて
それを見た。
鏡にそとの雨がうつった。

ぼくはあたらしい歯に
そっとさわった。
なんとなく、くすぐったいとおもった。
おとなになる歯だなとおもった。
そしてうれしくなった。
ぼくはとれた歯をもって外へ出た。

雨はいつかやんでいた。
雲の切れめが青かった。
ぼくはふるい歯を
思いきり高く空へほうりあげた。


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