こども診療所だより 復刊第7号2001年8月10日発行

テーマ:「食べものについてノ」
日時:9/8(土)pm2〜7
場所:梅村こども診療所 参加者:大人9人
 「食べもの」とひとくちに言われてもねえ… 離乳食、偏食、病気の時の食事、アレルギー、添加物、自然食.、いろいろ話した中から、今回はハイライト「子どもの食が細くって悩んでいる人なんているの? 全然大丈夫だよ。僕くらいにはなるから!」と参加してくれた長岡さんの手記を一挙にご報告します。

長岡勝幸

「生きていくには食べたくない!
食べると僕は死んでしまう!」

 物心ついてから12歳までの毎日、ずぅ〜っとそう思って生きてきたのでした。「なぜ人は、物を食べなければいけないのか?」はじめて自分の頭使って考えたことって、多分こんなことだったんじゃないかと思います。
 食べ物を口に入れて噛んで飲み込むってことが、人生においてもっとも苦痛をともなうことだったわけです。日に三度も嫌なことがあってみて、それも毎日だよ。いやいや、辛かったねえー。ん、三度じゃないぞ。おやつもあるし、どこかのおじさんや、おばさんが「ぼく、これ食べる?」なんてやさしくしてくれたり、友達の所へ遊びに行って「おかし食べる?」とか言われると帰りたくなったもんねえ。

毎日がたたかい

 もちろん、そんな子を親も放っておくはずないですよね。やれ食えそれ食えと、毎日が戦いでしたねえ。僕は幼稚園だったんだけど、この時期は夕食がつろうございました。朝食と昼食はなんとかごまかせるんです。
 まず、朝はとにかくだらだらする。のろのろと起き、ながーいウンチタイム。もちろん食べてないので出ませんが。それから今日の準備。今日必要な物を、今日親に伝えます。「なんで昨日いわないの!」だらしない親だと先生に思われたくないので、あせってめちゃくちゃ怒ります。そうすればしめたもの、朝ごはんどころじゃありません。蹴られようが叩かれようが、食べることに比べればどれほど楽か…。そうこうしているうちに、通園の時間がやってきて「いってきま〜す」。
 続いてはお昼。昼の弁当は行き帰りにタイミングをみはからって、ポイです。
夕食や日曜はどうしてたんだろ? 記憶では、いつも怒られてた気がする。中でも一人に羽交い締めにされ、もう一人に口をこじ開けられてごはん突っ込まれたのは、つらかったなあ。今、思い出しても悲しくなるねえ。

生き抜くための智恵しぼり

 小学生になっても、相変わらず食べられなかったですねえ。いったいどう生き抜いたかといえば、「吐く」という技を編み出したのでした。これで、朝と夜はOK。お昼は弁当なので、他の子に分けてあげ残りは下校時にやっぱり捨ててました。
 あと、スキをみてトイレ(ぼっとん便所)に夕食を捨ててました。紙に包んで、便器の奥に手を入れ穴から見えないように、手首のスナップを使って端の方に投げてました。けれどどうやってトイレに運んだのか思い出せないんだよね。僕はずぅーっと蓄膿症で、いつも鼻をかみなさいって言われてて、そこいら中にちり紙(ティッシュじゃないよ)があったような気がするんで、それを使ったかな。
 食べられるようになったものは、キャベツと卵を炒めてソースをかけたものと豆腐かな。そんなとこです。ああ、水は大好きでよく飲んでました。

 小学校6年間で一番やばかったのが、吐いてるのがバレた時でしょう。3年生位だったかな。毎日吐いてるのはなんとかごまかして、食後にたまにムカつくとか言って逃げてたら、それは多分蓄膿症のせいだろう、とかになってた。結構病院に通って痛い治療も受けたけど、食べることよりかは楽だっね。

突然、モーレツな空腹が!

 そのような小学生活を終え、中学生になりそれは突然やって来た。ある日もうれつにお腹が減っちゃったんでした。それからは、もう始終お腹が空いていて、のべつ幕なし食べてましたね。うちは弟もそうだったみたいで、母親の認識だと小学校出るまでそうだったらしい。何だ、僕と同じじゃないの。その彼も今では上にも横にもでかい大男。だから、全然食べなくたって大丈夫ってことだね。

おふくろに聞いてみると…

 しんどかったあの子ども時代の話をみんなに聞いてもらえて本当によかった。また、親は親でいろいろ大変なのだろうなあと思ったのでした。
 で、ちなみに親に聞いてみました。ちゃんと聞いたのは実にはじめてのこと。僕の「食生活」ってどうだったのか?
 実はうちのテーブルには一日中フルーツや惣菜がおいてあり、僕は鳥のように飛んできてはほんのちょっぴり食べる、というのを繰り返していたそうな。あと、おままごとが大好きで手伝いに来ては味見をしていたそうな。
 要は食卓に並ぶ前に口に入れてた訳ですね。よーするにみんなそろって「いただきます」ができなかった子どもらしい。それって今と同じなのでは…。うーん、記憶っていい加減かも。親って、ホーントッ大変なんですねっ!


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