こども診療所だより 復刊第7号2001年8月10日発行




梅村 浄

 私がぺシャワール会の会員になったのは、十年前のことです。九州大学医学部の後輩から「中村が現地でがんばっとるけん、会員になってくれんやろうか。」と、頼まれたのがきっかけでした。年一回、会費だけを払う気楽な会員でした。
 中村哲さんは十七年前、パキスタンのぺシャワールへ行き、癩病の撲滅をめざす医療活動に参加されました。癩病は治療薬が開発され治る病気であるにもかかわらず、パキスタン、アフガニスタンでは、その薬を手に入れることのできない人たちがいます。毎年、新たな患者が発生し、罹った人たちは日常生活に困難を抱えています。中村さんはその後、日本全国の会員から集めたぺシャワール会基金をもとにして建設した病院を拠点として、パキスタン、アフガニスタンの山村に診療所を作りました。現地のスタッフを養成しつつ、医療に縁遠かった人々を無料で診療してきました。その人数は年間17万人に及びます。
 さらに昨年から全土に広がった旱魃に対して、ぺシャワール会の日本人スタッフが現地の作業員と組んで、千ケ所以上の井戸を掘り、乾燥した土地に水を呼び戻してきました。「まず、生きておれ。病気は後で治す」という中村さんの言葉には、仕事を医療に限定せずに、人が生きるために必要なことは何でもしようという気概が込められています。
 先日、思いもかけず三十年ぶりに中村さんに会いました。場所は衆議院議員会館の一室でした。アメリカのアフガニスタン空爆が始まった翌日、帰国した中村さんから、国会議員達と一緒に現地の話を聞きました。「ソ連のアフガニスタン侵攻以来、国土全体で慢性的戦争状態が続いており、アメリカの空爆はそれに追い討ちをかけるものだ。冬を前にして、餓死の危険にさらされている人々へ食料を送ることこそ、日本がすべきことで、自衛隊派遣は何の役にも立たない」という発言でした。長年の活動を基にした発言は、私の心にストンと落ちるものでした。翌々日、中村さんは国会で同じ内容の証言と意見を述べられました。
 ぺシャワール会は「アフガンいのちの基金」の活動を始めました。現地で買い付けられた小麦粉と食用油はカブール、ジャララバードで配付されています。つい先日、私も郵便局へ行って、ささやかながら自分にできることをしてきました。

ペシャワール会「アフガンいのちの基金」郵便振替口座[01790-7-6559]


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