最終更新日:2001.8.30

冬の病気 二つ

 前回「夏の病気」を書いたと思ったら、もう冬になっていて、今度は「冬の病気」、年をとると本当に月日のすぎるのが早くなります。こどもだった頃は一週間先というのが、すごく長い時間だったのに、などと老いのくりごとを言っていてもしょうがないので本論に入ります。
 冬の病気の代表といえばインフルエンザと「冬の下痢」でしょう。そこでこの二つについて解説します。

インフルエンザ

 インフルエンザは毎年のように流行します。流行の規模は年によっていろいろですが。
 インフルエンザはインフルエンザウィルスというウィルスによって起る病気ですが、このウィルスは大昔から存在していて「人類の歴史はインフルエンザとの闘いの歴史であった」などという人もいます。
 ぼくたちがかぜと呼んでいるのは「ウィルスが原因になって、はな、せきが出たり、のどや頭が痛くなったり熱が出たりする状態」と言ってよいと思いますが、このようなかぜを起すウィルスは200種類もあります。そしてそのうちの一つがインフルエンザウィルスなのです。
 「インフルエンザとそれ以外のかぜはプロの医者なら簡単に見分けられるはず」と思っている患者さんは多くて「この子はかぜですか、インフルエンザですか」とたたみかけるように質問されることも少なくありません。
 しかし診察だけでは確実に見分けることはできません。「まあ、インフルエンザでしょう」ぐらいは言えますが、インフルエンザと確定するためにはいろいろ検査をしなくてはならないのです。まずそのことを知っておいて下さい。

 ではどんな時に医者が「これはインフルエンザだろう」と考えるかというと、次のような症状がある時です。
 「急に発病する。はなみず、結膜炎、のどの痛み、痰を伴わない咳などの症状がある。特徴的なのは高熱や強い筋肉痛、倦怠感、頭痛などがみられること」
 インフルエンザが流行している時期に、こんな症状があれば「ほぼインフルエンザだろう」と考えるわけです。ただ乳幼児の場合は軽い症状であることが多く、他のかぜと見分けがつかないことが多いのです。
 高熱があって頭痛が強いような場合でも、同じような症状はRSウィルス、パラインフルエンザウィルス、アデノウィルスなどでも起るため、その見分けはむつかしいことがあります。
 インフルエンザウィルスにはA型・B型・C型がありますが、C型は流行することもなく症状も軽いのでふつうのかぜと考えてよいでしょう。A型とB型は流行し、同じ時期に両方の型が流行することもあります。A型もB型も症状は同じようなもので検査をしないで見分けることはできません。
 熱は2〜3日間続くのが普通です。この間、安静にして水分を沢山とり自然によくなるのを待つことです。
 乳幼児でまれに脳症が起ることがあります。この場合、発病してニ日目くらいのうちに意識がはっきりしなくなったり、けいれんを起したりします。こういうことが起ったら、すぐに大きい病院に行くことが必要です。
 インフルエンザの時にはアスピリンをのむと脳症をおこすことがわかっていますし、アスピリン以外にも強力な解熱剤を使うのは危険ですから気をつけましょう。

冬の下痢

 冬にはウィルスによる胃腸炎がよく見られます。いろいろなウィルスによって起りますが中でもロタウィルスによるものが多く「冬の下痢」などと呼ばれます。

 最初に吐く時期があります。吐くのは1〜2日ですが、突然吐き出して何度も続けて吐くこともあれば、1日2〜3回、ポツン、ポツンと吐くこともあります。吐くのがおさまってくると下痢が始まり、一日数回から十数回、白色、あるいは黄白色の水様便が出ます。下痢は五日間ぐらい続くのがふつうなので「早く治したい」とあせらないで下さい。
 下痢の間は小児用のイオン飲料や番茶を少しづつのませ脱水にならぬよう気をつけていさえすればそのうち自然によくなるのです。特に乳児では強力な下痢止めを使うのはよくないと言われていますし、下痢止めとしてつかうおだやかなお薬も効果ははっきりしないのです。「下痢にはじっくりとつきあうこと」と心得て下さい。

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