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最終更新日:2001.8.30 |
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ことばとコミュニケーション大野有紀子 ことばの獲得は暗記じゃない!!! 皆さんは「ことばが芽生える」というと、どんなイメージですか? 私はこの職業に就く前は漠然と(というか、そんなこと深く考えてみたこともなかったのですが)英語の単語の暗記みたいな単純に名称を暗記する…みたいなイメージがあったように思います。 自分で触ってみたり、大好きなお母さんやお父さんが使っているところをじーっと見ていたりしながら、/なめたら固かったぞ/振っても音がしないな/でっぱりを押したら「ぴぽぱ」って音がしたよ/大人はそれを耳にくっつけてるみたい/僕もやってみたらお父さんの声がしたよ。お父さんいないのにどうして??/おかあさん耳に当てながらいつも「もしもし」って言ってるみたい等々、五感をフル活用して、少しずつ、感じたり、認識していくうちに、こどもの中で「電話」という概念が育って、初めて[で・ん・わ]という単なる音の羅列とくっついていくのです。 なめたり、叩いたり、触ったり、人を観察したり、そんなことを繰り返しながら、外には見えないけれど、こどもの中で日々変化が起きているのです。そして、必要十分になった時にことばを理解し始め、更に条件が揃った時にしゃべるのだ…と思うとなんだかちょっと感動しませんか? 楽しい体験のオススメこどもは楽しい体験をよく覚えています。こどもの豊かな感性を揺さぶる楽しい体験を通して獲得したことばは、忘れにくいだけでなく、生きたことばとして、こどもの中に積み重なっていきます。 きょうはAちゃんの訓練の日。今日のテーマは「高い」ということばです。訓練室に入ってきたAちゃんは、天井からオレンジの丸い物体が下がっているのを発見しました。「あ、柿だ!」Aちゃんは叫びました。Aちゃんは、前回読んだ、動物たちが高い木になっている柿を取るのにいろいろ試みるお話を覚えていたようです。 「柿、取ってみようか?!」私が声を掛けます。取ってみようか…と言われても大人でも届かない高さに柿に見立てた物体はあります。ジャンプを何回も繰り返したけど届かなかったAちゃん。「取れないよ!!」と訴えてきます。 3人でしばらくジャンプをしていると、Aちゃんが、部屋の隅にいいものを発見しました。そして自分の背ほどもあるイスを引きずってきました。そうそう、絵本の中でも動物たちは丸太に乗って柿を採ろうとしたよね。イスの上に登り、手をめいっぱい高く延ばしてみたAちゃん、まだ柿には届きません。 そそくさとイスから降りると、今度は子供用の小さめのイスを持ってきました。そうそう、絵本の中でも背の低い動物は丸太を何個も積んでいたよね。イスの上にまたイス…何とも危ない状況です。お母さんと私はどきどきする気持ちを抑えてイスを支えます。 「取れた!!」手を伸ばして柿を採ったAちゃんは、お母さんと私に柿を見せようとして下を見ました。「わー!!」Aちゃんは怖さと驚きの入り交じった声を出しています。多分大人より高くなるなんて、ましてや天井に近い高さはAちゃんにとって初めての体験でしょう。上からわたしたちを見下ろすAちゃん。「高ーいね」私が言うと「高い!!高い!!」満足したように繰り返しています。 ジャンプをして届かない感覚、イスを重ねた感覚、ちょっとぐらぐらする重ねたイスの上から大人を見下ろす感覚…そんなものがAちゃんの中に、「高い」ということばと共に、しまわれていることでしょう。 楽しい体験…それは大人が意図的につくるものではありません。Aちゃんの場合では、確かに言語聴覚士として教えたいことばは存在しました。また、前に読んだ本と結びつけるような工夫もしました。でも私がお膳立てしたのはそこまで…。 |
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