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推薦図書 17

男、男、男の世界
『処女航海』
原 健著 幻冬舎
本にも出合いというものがあり、読むべき時に読むべき本と出合う。一昨日、葉山マリーナで偶然見つけた『処女航海』、慰み程度の気持ちで購入したのだが、葉山からの帰り道に読み始め、面白くて一気に読んでしまった。
今までの例から、ヨット乗りの書く本など、自己満足程度の「航海記」だろうくらいにしか、期待していなかったのだが、いやいやどうして、なかなかのものでした。
先日、ギリギリに映画館で観ることができた『マスター アンド コマンダー』を彷彿とさせるような男、男、男の世界がそこにはある。最近のアンケートでは、女の方が楽しく生きられる、という調査結果が出たが、私も今まで女でいることに満足し、男になりたいと思ったことなど一度もなかったが、初めて男もいいなと思わせられてしまった。そして男だったらあんな風に生きてみたいと思わせる「いい男」がたくさん出てくる本である。
著者の原さんとは、昨年の終わり頃から、マリーナで時々会う程度で、噂どおりのハンサムな好青年、アメリカズカップに出た人、それ以上の認識はなかった。その原さんに忘年会のパーティで『サマーデイズ』を貰って読んでも、その評価はそれほど変わらなかった。
しかし、最初に書かれたこの本を読んで、評価はすっかり変わってしまった。「あー、本当に凄い人なんだ」。何が凄いか、それは、いろいろな人との出会いであり、チャンスとの出会い、その出会いとの付き合い方、出会ったことの取り入れ方、それは彼の生きることへの真面目さなのだろうが、魅力ある男たちにひたすらついて行く彼の素直さがこの本の魅力でもある。
開高健に傾倒し、熟読したということも彼の人間形成、文章修行に大きく役立っているのだと思うが、文章も含め、船に乗る人以外にも、興味深く読める本だと思う。
特に船に乗っている者にとっては、世界一周レース「ウィットブレッド」のクリス・ディクソンの執念、過酷な海の戦いには興奮させられる。他に、やはりプロセイラーの南波誠、サッカーの松本育夫他4人の男たちが登場するが、1人1人の魅力が彼のフィルターを通してひしひしと伝わってくる本だ。
すでに絶版になっているらしいが、大手の本屋さんには在庫があるらしいので、興味のある方は一読し、ロマンというにはあまりにも過酷でさえある男の世界を味わってほしい。
(2004年5月)
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