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推薦図書 11

海岸の漂着物、風が運ぶもの。。
『海上の道』
柳田國男 著 筑摩叢書
5月の連休も終わり、ここ、小さな漁村も静けさが戻ってきた。東京から越してきて3ヶ月あまりすぎた。朝夕の日課、老犬たちとの散歩は雨の日以外続けている。
いくつかある散歩コースの中で、特に気に入っているのは、東京湾口の大浦海岸である。事務所から5分も歩くと、全長300メートル程の弓なりの砂浜にでる。ゴミも多いが、いろいろな漂着物を見る。嵐の翌朝は、見慣れない新参の漂着物に、犬たちと興味津々である。
さて、推薦図書のことである。初版昭和42年、私が読んだのは第15版、昭和60年、この手の本(民族学)ではベストセラーだろう。引越しで本棚を整理していて再会した。ヨットで日本近海を旅している時の座右の一冊だった。
「風」の話が出ている。アイの風、「海岸に向かってまともに吹いて来る風、即ち数々の渡海の船を安らかに港入りさせ、又はくさぐさの珍らかなる物を、渚に向かって吹き寄せる風のこと・・・」そして「遊女は歌にうたい、船人は淋しい日にそれを憶いおこし・・・」とある。水平線を見つめ遊女は人を待つ、商人は荷を待つ、沖の船人は入港の日和を待つ。
島はもとより、海沿いの地も陸路より、海路の動力船の無い、帆船の時代のことである。各地に風待ちの港があり遊女たちがいた。
「名も知らぬ遠き島より 流れ寄る椰子の実一つ・・・」島崎藤村と柳田國男との交友も面白く興味を引かれる一冊である。
晩風(ばんぷう)、夕方から夜にかけて吹く風、寝床の中で雨戸の鳴る音を聞きながら、アイの風なら明朝は大浦へと思う。今度の冬は、薪ストーブを用意し、今から流木を貯め込もうか・・・?
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