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推薦図書 9

少年というものはカッコイイものだ。
風少年
小檜山博著 講談社刊
この自伝的小説の舞台は、北海道と会津である。
主人公の少年が、北海道のオホーツク海側、紋別から直線距離で60kmほど内陸に入った、紋別郡滝上町近くの集落で暮らし、中学を卒業するまでの物語である。
極貧の中、少年は真っすぐ育って行く。彼は良い教師に出会い、友人にも恵まれ、この極寒の田舎で助け合って生きる近隣の大人たちの現実に触れ、また、両親と兄弟姉妹、淡い恋愛、そして、圧倒的な存在の自然が彼を覚醒させる。屈折せずに素直に生きられるのは、自分がその全てに愛されているという確信から生まれるのだと思う。
作者より十歳年下の私(船長)は、彼が育った滝上町とは、大雪連峰をはさみ南側にある旭川で少年時代を過ごした。彼の家ほど貧しくは無かったけれど、彼の自然観や終戦直後の若い教師達の熱い思いがリアルに伝わってきた。自分にダブり、私の好きだった女の子、友人、厳しくも素晴らしい教師達、駆け回った山河、そして、両親に感謝するのはよりよい学校へ進学させてくれたことである。私は何度も泣いた。
転校して行く主人公に「いいか啓太、少年というものはカッコイイもんだ、忘れるなよ。」と教師が声をかけるシーンに心をうたれた。
この本に出会うきっかけとなったのは、小檜山博著「光る大雪」だった。わが家のルーツと同じ会津から始まり北海道への移住という物語に惹かれたのである。
小檜山氏の幻想小説「光る女」は、泉鏡花文学賞を受け映画化されている。余談だが「光る女」の亡くなった映画監督とは、行きつけの四谷荒木町の飲み屋で酒を酌み交わしたことがあり、ひょっとしたら私がその映画に端役で出演と……・実現しなかったけれど。
ホンとですよ。
「風少年」の「風」はわが社の「風」かも知れない。
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